水星探査探査機ベピ・コロンボのスイングバイを見よう2020/04/05

4月10日に行った実際の観察記事はここをクリックしてご覧ください。


BepiColombo
ESAとJAXAの共同による国際水星探査計画「ベピ・コロンボ」(BepiColombo)は、1997年に計画がスタート、2018年10月20日10:45:28JSTにフランス領ギアナから無事打ち上げられました。 JAXA担当の水星磁気圏探査機「みお」(MMO)と、ESA担当の水星表面探査機(MPO)がまとめて軌道投入されるという珍しいミッションでした。二機は水星に着いてから切り離される予定だそうです(左図/JAXAサイトから引用)。

ベピ・コロンボはイオンエンジンで直接水星に向かうのではなく、1回の地球スイングバイ、2回の金星スイングバイ、6回の水星スイングバイを行いながら、ようやく2025年12月に予定軌道へ到達します。その最初のスイングバイが、2020年4月10日に行われます。おぉ、今週だ!

日本の小惑星探査機「はやぶさ2」や米国の「OSIRIS-REx」のときのように、このスイングバイを観察しようという観測キャンペーンが行われるようです。肉眼で見えるようなものではありませんが、相応の機材をお持ちならアマチュアでも撮影が可能です。折しも日本はコロナウイルスで日常生活すらままなりませんが、ミッションコントロールを担当するヨーロッパも例外ではありません。地上で観察しながら、長く困難な道のりにエールを送っちゃいましょう。

残念ながら地球にもっとも近くて見やすくなる時間帯は日本の反対側になってしまいますが、4月10日の宵から夜半前と、翌11日の同時刻は見えそうです。予報光度は10日が13等から15等、11日は17等から19等。かなり速い移動天体であることや、遅い時間帯ほど月明かりがあるといった困難が伴いますが、結果に関わらずチャレンジすることに損はありません。

ベピコロンボ星図範囲
ベピ・コロンボは天文薄暮終了時におおむね天の赤道・南中付近です。お天気さえ良ければ観察方向は申し分ないでしょう。下に日本の6地点における概略星図を掲載しました。JPL-HORIZONSによる位置予報をステラナビゲーターで描いたものです(赤道座標系で描画)。各星図がどの辺りかは右図を参照のこと。計画を立てるのにお使いください。10日と11日とでは縮尺が違いますのでご注意。また、日付と観察地を取り違えないようにしましょう。6地点以外の方はもっとも近いと思う地点を使ってください。

探査機はまだ地球に近いため、日本国内のどこで見るかによって1°を越えるくらいの視位置の差(10日20時時点)があります。時間が経つほど視位置差は小さくなりますから、11日には0.5°角(満月直径程度)に収まります。これらの星図は大まかなものですから、写野が数度以下の機材を使う場合はもっと細かく正確な星図を各自で用意してください。準備スキルを高めるのも天体観察には重要ですね。

ベピコロンボ・移動速度と距離
2020年3月29日掲載の小惑星記事にも書きましたが、例えば14等の高速移動天体は14等の恒星を赤道儀追尾で写すよりはるかに暗くなります。10日の場合は数秒で速写しても14等台が写せるくらい明るい光学系が必要です。また11日なら移動が遅くなるけれどかなり暗いですから、1分程度の露出で移動する18等台まで写せるような光学系が良いでしょう。見かけ上の移動速度(角距離)に関しては左図も参考にしてください。縦軸は「分角/時」ですから、10日の宵は10分で満月直径ほど動いてしまいます。どうか晴れますように!

  • 20200410札幌

    4月10日・札幌
  • 202004110仙台

    4月10日・仙台
  • 20200410つくば

    4月10日・つくば
  • 20200410大阪

    4月10日・大阪
  • 20200410福岡

    4月10日・福岡
  • 20200410那覇

    4月10日・那覇


  • 20200411札幌

    4月11日・札幌
  • 20200411仙台

    4月11日・仙台
  • 20200411つくば

    4月11日・つくば
  • 20200411大阪

    4月11日・大阪
  • 20200411福岡

    4月11日・福岡
  • 20200411那覇

    4月11日・那覇

  • 飛行は順調のようですから軌道の変更はないと思われますが、絶対に無いとは言い切れません。この星図はあくまで今日時点の予想位置ですのでご了承ください。
  • 各星図で目に見えるような変更がない限り、星図は変更しません。スイングバイ2日前辺りに一度確認する予定です。→下記参照!!
  • 4月9日昼時点での計算では概ね移動方向に最大1.5分角程度の遅れがありました。(つまり「移動位置はほぼ変わらないけれど、数秒遅く通過する」ということです。)上に掲載した星図縮尺では違いが分からない程度ですので、変更はしません。微少な差でも観測に差し障る場合はご自身で精密な星図をご用意ください。


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