夕空高い金星に月とすばるが近づく ― 2020/03/27
一昨日25日夕方に月齢1の月を探してみましたが見つかりませんでした。でも昨夕の月齢2は探すまでもなく目に入りました。金星と共に西の夕暮れを美しく飾っていました(左画像)。
金星は25日に東方最大離角を迎えましたので、今が一番太陽から離れています。今期の金星はとても高く輝き、関東から見た場合、21時を過ぎてもまだ低空に見えています。概ね黄道に沿って移動する惑星は、黄道が地面に対してそそり立っているか、それとも寝ているかによって見える高さが左右されてしまうのです。
夕方の黄道について春分の頃と秋分の頃を比べてみると、下A・B図のようになります(Stellariumによる作図)。天の赤道位置(赤い線)は変わりませんが、黄道(黄色の線)は地面に対する角度が全く違いますね。
春の夕方はひとつ前の季節を飾ったみずがめ座・おひつじ座・おうし座などの黄道星座たちが西に沈む順番待ちをしています。これらの星座は赤道から北へ離れる方向に並んでいますから「黄道がそそり立っている」ことになるわけです。いっぽう秋の夕方に順番待ちをしてるのはてんびん座・さそり座・いて座などの南に低い黄道星座たち。当然ながら「黄道は横倒し」になってしまいます(→参考:「夜明け前に黄道光を見よう」2017年10月14日記事)。つまり、金星が春に東方最大離角を迎えることと、金星が高く見えることは密接に関係しているのでした。反対に秋の場合は、東方最大離角でもかなり低くなってしまうのです。例えば2021年の金星東方最大離角は10月30日ごろ。関東から見た場合、このときは日没時刻でも高度がわずか20°足らず。暗くなるのを待つ内に沈んでしまいます。
左上画像/右画像を見ると近くにおうし座のヒアデス星団やプレアデス星団が確認できるでしょう。金星は来週末4月4日にプレアデス星団の真ん中を通り過ぎるイベントを控えています。とても豪華な眺めになるでしょうから、晴れたらぜひご覧ください。2020年2月28日の記事で、火星と球状星団M22の接近について計算結果を載せました。今回は金星とプレアデス星団(M45)について、同様の計算をしてみました。下表にまとめておきましたので観察の参考にしてください。
来週末の接近はむしろ「一体化」とでも言えそうな離角です。同様のことは2028年4月4日や2036年4月4日にも起こるようです。日付が同じだなんて出来過ぎじゃありませんか?あらためて表を見ると、金星とすばるの大接近はすべて4月か5月に起こっていると気付けるでしょう。金星は太陽から一定以上離れることができません。だからおうし座が太陽に近づく4月から5月、夕方西空か明け方東空でしかこの現象は起こらない、というカラクリでした。
金星は25日に東方最大離角を迎えましたので、今が一番太陽から離れています。今期の金星はとても高く輝き、関東から見た場合、21時を過ぎてもまだ低空に見えています。概ね黄道に沿って移動する惑星は、黄道が地面に対してそそり立っているか、それとも寝ているかによって見える高さが左右されてしまうのです。
夕方の黄道について春分の頃と秋分の頃を比べてみると、下A・B図のようになります(Stellariumによる作図)。天の赤道位置(赤い線)は変わりませんが、黄道(黄色の線)は地面に対する角度が全く違いますね。
春の夕方はひとつ前の季節を飾ったみずがめ座・おひつじ座・おうし座などの黄道星座たちが西に沈む順番待ちをしています。これらの星座は赤道から北へ離れる方向に並んでいますから「黄道がそそり立っている」ことになるわけです。いっぽう秋の夕方に順番待ちをしてるのはてんびん座・さそり座・いて座などの南に低い黄道星座たち。当然ながら「黄道は横倒し」になってしまいます(→参考:「夜明け前に黄道光を見よう」2017年10月14日記事)。つまり、金星が春に東方最大離角を迎えることと、金星が高く見えることは密接に関係しているのでした。反対に秋の場合は、東方最大離角でもかなり低くなってしまうのです。例えば2021年の金星東方最大離角は10月30日ごろ。関東から見た場合、このときは日没時刻でも高度がわずか20°足らず。暗くなるのを待つ内に沈んでしまいます。
左上画像/右画像を見ると近くにおうし座のヒアデス星団やプレアデス星団が確認できるでしょう。金星は来週末4月4日にプレアデス星団の真ん中を通り過ぎるイベントを控えています。とても豪華な眺めになるでしょうから、晴れたらぜひご覧ください。2020年2月28日の記事で、火星と球状星団M22の接近について計算結果を載せました。今回は金星とプレアデス星団(M45)について、同様の計算をしてみました。下表にまとめておきましたので観察の参考にしてください。
来週末の接近はむしろ「一体化」とでも言えそうな離角です。同様のことは2028年4月4日や2036年4月4日にも起こるようです。日付が同じだなんて出来過ぎじゃありませんか?あらためて表を見ると、金星とすばるの大接近はすべて4月か5月に起こっていると気付けるでしょう。金星は太陽から一定以上離れることができません。だからおうし座が太陽に近づく4月から5月、夕方西空か明け方東空でしかこの現象は起こらない、というカラクリでした。
【金星とM45の接近・2000年-2040年調べ】
地心最接近日時 (JST) | 金星・M天体 最小離角(°) | 金星位置 | 金星・太陽 離角(°) | 測心最接近日時 (JST) | 金星・M天体 最小離角(°) | 金星位置 | 金星・太陽 離角(°) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2000年5月25日 21:42 | 4.646 | 南 | 4.602 | 2000年5月25日 21:32 | 4.647 | 南 | 4.605 |
2002年4月26日 3:47 | 3.556 | 南 | 24.677 | 2002年4月26日 3:47 | 3.557 | 南 | 24.678 |
2004年4月3日 23:26 | 0.568 | 南 | 45.924 | 2004年4月3日 23:22 | 0.570 | 南 | 45.921 |
2005年5月10日 14:59 | 4.137 | 南 | 10.416 | 2005年5月10日 14:59 | 4.137 | 南 | 10.415 |
2007年4月12日 13:16 | 2.639 | 南 | 38.242 | 2007年4月12日 13:26 | 2.639 | 南 | 38.243 |
2008年5月25日 10:30 | 4.628 | 南 | 4.116 | 2008年5月25日 10:40 | 4.628 | 南 | 4.114 |
2010年4月25日 17:07 | 3.533 | 南 | 25.145 | 2010年4月25日 17:04 | 3.533 | 南 | 25.144 |
2012年4月4日 2:27 | 0.438 | 南 | 45.845 | 2012年4月4日 2:24 | 0.441 | 南 | 45.844 |
2013年5月10日 3:59 | 4.123 | 南 | 10.907 | 2013年5月10日 4:02 | 4.124 | 南 | 10.909 |
2015年4月12日 4:47 | 2.602 | 南 | 38.643 | 2015年4月12日 4:47 | 2.603 | 南 | 38.643 |
2016年5月24日 23:34 | 4.615 | 南 | 3.625 | 2016年5月24日 23:27 | 4.616 | 南 | 3.626 |
2018年4月25日 6:54 | 3.511 | 南 | 25.619 | 2018年4月25日 7:02 | 3.512 | 南 | 25.621 |
2020年4月4日 7:06 | 0.296 | 南 | 45.706 | 2020年4月4日 7:06 | 0.299 | 南 | 45.708 |
地心最接近日時 (JST) | 金星・M天体 最小離角(°) | 金星位置 | 金星・太陽 離角(°) | 測心最接近日時 (JST) | 金星・M天体 最小離角(°) | 金星位置 | 金星・太陽 離角(°) |
2021年5月9日 17:08 | 4.103 | 南 | 11.395 | 2021年5月9日 17:02 | 4.103 | 南 | 11.393 |
2023年4月11日 20:23 | 2.555 | 南 | 39.039 | 2023年4月11日 20:14 | 2.556 | 南 | 39.036 |
2024年5月24日 12:30 | 4.595 | 南 | 3.139 | 2024年5月24日 12:35 | 4.595 | 南 | 3.138 |
2026年4月24日 20:30 | 3.484 | 南 | 26.089 | 2026年4月24日 20:20 | 3.484 | 南 | 26.086 |
2028年4月4日 13:18 | 0.143 | 南 | 45.499 | 2028年4月4日 13:19 | 0.145 | 南 | 45.499 |
2029年5月9日 6:03 | 4.086 | 南 | 11.887 | 2029年5月9日 6:11 | 4.087 | 南 | 11.889 |
2031年4月11日 11:55 | 2.515 | 南 | 39.426 | 2031年4月11日 12:07 | 2.516 | 南 | 39.428 |
2032年5月24日 1:21 | 4.583 | 南 | 2.655 | 2032年5月24日 1:19 | 4.584 | 南 | 2.655 |
2034年4月24日 10:09 | 3.464 | 南 | 26.555 | 2034年4月24日 10:20 | 3.465 | 南 | 26.558 |
2036年4月4日 21:49 | 0.017 | 北 | 45.208 | 2036年4月4日 21:56 | 0.016 | 北 | 45.204 |
2037年5月8日 19:19 | 4.069 | 南 | 12.378 | 2037年5月8日 19:10 | 4.070 | 南 | 12.375 |
2039年4月11日 3:57 | 2.47 | 南 | 39.813 | 2039年4月11日 3:54 | 2.47 | 南 | 39.813 |
2040年5月23日 14:27 | 4.56 | 南 | 2.167 | 2040年5月23日 14:26 | 4.56 | 南 | 2.168 |
地心最接近日時 (JST) | 金星・M天体 最小離角(°) | 金星位置 | 金星・太陽 離角(°) | 測心最接近日時 (JST) | 金星・M天体 最小離角(°) | 金星位置 | 金星・太陽 離角(°) |
- 自作プログラムによる概算です。接近最小離角が5°以内のケースのみピックアップしました。表の左半分は地心計算、右半分は測心計算です。
- 測心計算の観測位置は当ブログ基点の茨城県つくば市です。金星は比較的地球に近いため、地球中心(地心)での計算と観測位置(測心)での計算に若干の差が出ます。
- M45の主要な星は赤緯方向におよそ1°角ほど広がっていますので、離角0.5°以内なら星団の中に金星が入ってしまったように見えるでしょう。
- 金星位置の項は、M45中心位置に対して金星が北側を通過する場合は「北」、南側を通過する場合は「南」の表記です。
- M45中心位置は赤経3h47m・赤緯24°07′(J2000.0)としています。金星がM45の南側で接近することが多いのは、M45の赤緯が黄道傾斜角(23°台)よりも北側に上回っていることが一因と思われます。