夜明けの月とFern Frost2020/03/15

20200315_24997月
凍えるような昨日の天気は夜まで続きました。日中降っていた雨は宵まで残り、若干のみぞれとなったようでした。夜間はそのまま曇り空でしたが、天文薄明が始まる一時間ほど前に随分雲が切れ、夜明けの星月を眺めることができました。

幾つか見たい天体はあったけれど残り時間が少ないため、月の観察のみ行いました。左は4時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約249.97°、撮影高度は約35.4°、月齢は20.15。細かな大気の揺らぎは仕方ないですが、時折やって来るはぐれ雲を避ければ空の透明度は抜群でした。色合いがとても綺麗に写ってくれました。

明け方にかけてさそり座ν星の掩蔽が起こることを知っていたけれど、気力が残ってなかったため望遠鏡をさっさと片付け、部屋の窓越しに双眼鏡で楽しみました。小型双眼鏡でもちゃんと暗出の様子が見えたのはさすがに愉快です。

ところで、月面撮影前に気温を測ったらなんとマイナス1度!あちこちが凍っていて、車のドアが開きませんでした。街全体が急速冷凍されたみたいです。車のガラスやボンネットを観察すると、見事な霜や氷の模様に覆われていました。明るくなってから撮影したものが下A・B・C画像。まるで鳥の羽根みたいでしょう?この様に何かの表面で霜や薄氷が成長する過程で、脈状に発達した美しい模様を作り出すことがあるのです。その形状から「Fern Frost」と表現されます。Fernとはシダの葉っぱですね。必ずしもシダ状になるわけではなく、時に珊瑚のようであったり、羽毛に見えたり、葉脈みたいだったりします。観るたびに表情が違うのは月面と共通するでしょうか。Wikimedia Commonsにも世界中からたくさんの写真が上げられていますのでご覧ください。

  • 20200315-Fern Frost

    A.
  • 20200315-Fern Frost

    B.
  • 20200315-Fern Frost

    C.


これまで撮りためていたいくつかの霜写真を下に掲載しました。霜や氷は時として「面」ではなく「立体的」に成長することもあります。ちょっとした突起やホコリ、傷に沿いつつ、ミニミニ樹氷とでも表現したくなるくらい細やかで可愛らしい形状を作り上げるのです。下D・E・F画像のようなものは雨水や雪が直接凍り付いたのではなく、空気中の水蒸気が何かの表層で結晶化したもの。「樹霜」などと呼ばれます。ミクロの世界…とまでは言いませんが、ミリメートルの世界なのは確かでしょう。ルーペで観察すると、立体に発達した霜もまた珊瑚のようであったり樹木に見えたり、いわゆるフラクタルパターンになっていることが分かりますよ。

下G画像はこの記事のなかでいちばんFernっぽいでしょうか。また下H画像はFernに成長する初期段階のものです。下I画像は実際に氷漬けになった落ち葉を覆う薄氷を剥がして、偏光板に挟んで撮影したもの。凍るときの結晶面に応じて偏光具合が変わり、様々な発色になってとても美しいです。Fern Frostそのものを偏光撮影してみたいけれど、滅多に霜向けの天候にならない上に周到な準備が必要で、なかなかチャンスに恵まれません。今朝は虚を衝かれました。

  • 霜の形態

    D.
  • 霜の形態

    E.
  • 霜の形態

    F.


  • 霜の形態

    G.
  • 霜の形態

    H.
  • 霜の形態

    I.


今日の太陽2020/03/15

20200315太陽
朝から晴れていますが、時々雲が飛来します。昨日の寒さが少し残っており、昼過ぎにようやく気温9度。このヒンヤリ感は数日続くとのこと。

20200315太陽リム
左は10時過ぎの太陽。大気の揺らぎがかなり酷く、ピントピークが分かりません。黒点が無くなった活動領域12758が辛うじて確認できます。小さなプロミネンスがちらほら。静穏な太陽になりました。

雨上がりですが、花粉光環は確認できませんでした。午後は天気が不安定になっており、雲がたくさん出てきました。