雲のまにまに板垣さん発見の二天体を観察2020/03/13

20200312_PNV J00424612+4111362
昨夕から今朝は時間と共に雲が多くなる予報でした。前夜にやり残した新天体確認撮影のうち、板垣さん発見2天体の撮影ができるか微妙な空模様です。夕方は晴れていたため、ひとまず早めに準備。

2天体の片方はアンドロメダ銀河(M31)。天文薄暮終了時点で高度が約21°。グズグズしてると隣家の屋根や電線の中に没してしまう位置です。春霞に加え、光害が強い方向のため導入に苦労しましたが、何とか撮影を始めることができました。SN比を上げるのに出来るだけ露出を稼ぎたかったけれど、40分ほどで写野に隣家が入ってしまったため終了となりました。

撮影画像は左上の通りです。撮影範囲を右下画像に黄色矩形で示しました。画像処理で銀河の光芒をはぎ取って、微光星を見やすくしてあります。元画像はほぼまっ白だったため、恒星像を取り出すのにノイジーになってしまいました。街中の庭撮りでは仕方ないですね…。前夜よりは大気の揺らぎが少なく、風も無いため、星像がシャープになったのは幸いでした。

20200312_PNV J00424612+4111362
8日の発見から4日経っているため減光してないか心配でしたが、同程度の明るさを保っているようです。これほど銀河核に近い場所だったんですね。この先はM31が日を追う毎に低くなるし、次にいつ晴れるのかもはっきりしないため、ギリギリで撮影が間に合って本当に良かった…。

障害物の多い街中でこうした経験はデメリットばかりではなく、後々活きます。例えば今回の撮影は5月に明るくなると予報されているアトラス彗星(C/2019 Y4)も同じ方角ですから、「数メートル移動すればあと10分長く見える」といった究極の条件判断を見定めることが出来るのです。アトラス彗星観察も薄暮と天体高度との闘いになると思われ、様々な理由で自由に移動できない観察者にとって極めて難しいターゲットですから。

さてお次はヘルクレス座の小銀河UGC10528。当地では23:30過ぎに撮影可能高度20°に達します。(それ以下は東の建物群に隠れています。)東側は電線も多く、高い位置まで写野を横切ります。曇ってしまう前にどれだけ電線の隙間から撮影できるかが勝負どころ…だったのですが、その時間を待たずして月も見えないくらい曇ってしまいました。

20200313_AT2020ekk in UGC10528
しばらく雲を観察すると、ごく稀なタイミングで10分ほど星が見える隙間がありました。この隙間を使って撮りためれば何コマかの画像が得られるかもと考え、重機材を一度解体し、上空が見やすい位置まで10mほど移動、再度組み上げました。

3時間近く待つと全体的に雲が薄くなったので撮影再開、薄雲越しながら連続1時間半ほど撮影できました。不備はあったものの、結果的に移動は大正解。発見一日後の超新星候補天体は、Photoshopで塗ったんじゃないかと思うほど不気味に青く輝いていました(右画像)。通過する雲と月明かりのせいでこの画像もノイジーですが、苦労のし甲斐がありました。

惜しむらくは、月のハロ現象が盛大に出ていたのにじっくり観察・撮影できなかったこと。機材調整しながら横目でチラチラ見ましたが、内暈、光環、外接ハロなどがはっきり見えました。二兎を追う者なんとやらで、グッと我慢…。