美しい月面Xが見えました2019/12/05

20191204月面X
昨夕から宵にかけて、月面Xを条件良く観察することができました。ときおりやや強い風が吹いたものの、空は快晴。日没頃南中した上弦の欠け際に見事なX字型が浮かび上がってくれました。ちなみに、今年の上弦としては最小とのこと。

左は16:40頃の撮影で、太陽黄経差は約90.287°、撮影高度は約39.5°、月齢7.69。まだ青空の中の白い月でしたが、月面Xが見頃を迎えると予報された時刻です。(※背景は暗くしてあります。)このとき既に月面LOVEのVとOは見えていますね。このあと2時間ほどの間にLとEも光が当たり、19:40頃にはLOVEが揃いました。

20191204月面X&LOVE(ミネラルムーン仕様)
右画像は月面LOVEが出そろったのを見計らって撮影したもの。色のコントラストを丁寧に高めて、鉱物組成あるいは年代の分布が分かる様な、いわゆる「ミネラルムーン」の色調に仕上げてみました。暗いですが、欠け際にXとLOVEがありますから探してください。(※Lは光が当たり始めて何とか位置がたどれる状態なので、とても暗いです。右画像はコントラストを強めてあるため、中央が途切れて見えます。)月が低い上にシーイングも乱れていましたが、全く見えないと言うほどでもありません。何より快晴に加え、南中・日没・文字地形出現の各時刻が近いという最高の条件に恵まれた月面Xデーでした。

20191112ミネラルムーン
【余談】
ミネラルムーンは、「決められたルールに従ってピクセル情報を特定色に置き換える」といった、いわゆる「擬似カラー(false color)」や「パレット合成」とは異なります。もともと写っている色を慎重に抽出してゆくことが肝心です。

左画像は2019年11月12日に撮影した満月画像をミネラルムーン色調にしたもの。(→普通に処理した11月13日記事内の満月画像と原画は全く同じ。)カメラは無改造のノーマル一眼レフで、機材も一般的な反射望遠鏡です。特殊な装置が必要なわけではありません。

もちろんカメラの特性やフィルターワーク、強調の仕方、あるいは月齢(月面へ日光が当たる向きや、その光を観察者が捉える角度)によっても色調はずいぶん違う雰囲気になります。敢えて白黒カメラで三色分解・合成する方法もあります。このあたりは星雲撮影と同様ですね。

月が低空ほど大気の影響で青寄りの短波長が削ぎ落とされ、他天体同様にカラーバランスが崩れます。高く輝く冬の満月期がいちばんミネラルムーン向きと言えるでしょう。一見して色の無い世界と思われがちな「月面の色」を追求してゆくのは実に面白いテーマです。


やっとスッキリ写ったボリソフ彗星2019/12/05

20191205ボリソフ彗星(2I・C/2019Q4)
昨夜から今朝にかけてとてもよく晴れました。外へ出ると手が乾燥したので前夜より湿気は少ない事が分かります。いろいろ観察したいものはあるのですが少々疲れが溜まっていたため、明け方のボリソフ彗星(2I・C/2019Q4)に絞って準備しました。幸い月面観察のため機材は組みっぱなしでしたから、そのまま流用しました。

2時頃起きてみると透明度の良い空で、やはりカラッと乾燥しています。気温は1度まで下がりましたが、明け方が近づくに連れて3度近くまで上がりました。昨日の撮影では写野内の恒星に邪魔されましたが、星図で確認すると今日は大丈夫そうです。彗星経路上にも明るい星は無さそう…。あとはミスをせずにキチッと撮影するだけですね。

いつもより少し多めのコマ数にしましたが、やはり撮影の出だしは低空ですから星がボンヤリしてしまいます。でも今まで撮影した中でいちばんキレイに撮れたかなぁと感じました。北西(右上)向きに尾の存在も分かります。彗星光度ピークを前に、ようやく街中からこの恒星間飛行天体に迫ることができました。どんどん南下してることに加え、10日頃からは月明かりの影響が出ます。ボリソフ彗星を見るなら今です!

今日の太陽2019/12/05

20191205太陽
朝までよく晴れていましたが、日が登ると怪しげな雲が増えてきました。明日からまた天気が下り坂、土曜は関東で雪(みぞれ)の可能性もあるとのことで、今日の雲は前触れなんでしょうか。

20191205太陽リム
左は10:45過ぎの太陽。雲の合間に何とか撮影しましたが、ものすごくボンヤリした像です。活動領域はありませんが、右リムやや上に棒状のプロミネンスが見えました。それから、昨日も見えた南半球のダークフィラメントは今日も健在で、中央子午線に差しかかろうとしています。子午線を挟んで反対側にも鎌首を持ち上げた様なフィラメントが確認できますね。