また台風になるかも知れない熱帯低気圧発生2019/09/04


20190904-0900衛星画像
台風14号はわずか18時間で消滅しましたが(※ただし熱帯低気圧として継続中)、いっぽうの13号は「強い台風」クラスになって、いま正に先島諸島へ接近中。そんなとき、またしても本日9:00に「台風になるかも知れない熱帯低気圧」が発生したと気象庁から発表がありました。

左は発生時刻の気象衛星画像(画像元:NICT/画像処理・地図等は筆者)。赤点線円は台風13号中心、オレンジ点線円は熱帯低気圧中心の直径1000km円を表しています。

20190903-1800UT-JTWC
この熱帯低気圧は9月2日記事にアメリカ海軍・JTWC(Joint Tyhoon Warning Center)の予報図を載せたもと同一です。気象庁によるこの熱帯低気圧の長期動向はまだ発表されませんが、JTWCではすでにTropical Storm扱いになっており、本日3:00JST付けで右図の様な予報を出しています。なんだかヤバいんじゃないかな…。なお左上衛星画像の下部、フィリピン南東にも熱帯低気圧があるので要注意です。

チャンドラヤーン2号画像をじっくり眺める2019/09/04

チャンドラヤーン2号画像比較
7月22日に打ち上げられ、まもなく月面探査を始める予定のインド探査機「チャンドラヤーン2号」。どんな結果が得られるか、今からワクワクします。

少し前からになりますが、インド宇宙研究機関(The Indian Space Research Organisation/ISRO)サイトでチャンドラヤーン2号搭載カメラによる月面が公開されています。このなかに、ちょうど月北極の裏側に差しかかった探査機が地球方向を振り返りながら撮影した画像がありました。撮影は8月23日19:42UTと書いてあります。奇しくもこの秋にかけて地球からも月面北部が見やすい時期であり、私も8月18日明け方8月21日未明に撮影してます。

そこで半分遊び心ながら、チャンドラヤーン23日撮影画像と私の21日画像とをじっくり比較し、互いにどの範囲まで写せたのかを特定してみました。結果が左画像。下側がチャンドラヤーン撮影、上側が私の撮影ですが、互いのカメラが逆向きですから、私の画像を180度回転(つまり北が下方向)させてあります。対応クレーターをオレンジ線で結ぶため、チャンドラヤーンロゴの一部を消してありますのでご了承ください。

撮影日付が二日違うため影の具合が変わっていて残念ですが、なんとかピアリー(Peary)やロジェストベンスキー(Rozhdestvenskiy)といったクレーターが双方で確認できました。月の北極は両クレーターの中間付近にあります。23日の地球からは月縁の限界がRozhdestvenskiyおよびそのサテライトクレーターであるRozhdestvenskiy Kでしたが、チャンドラヤーンからは余裕で見えますね。

チャンドラヤーン2号・20190823撮影アングルマッピング
いっぽう、秤動マックスでも地球から絶対見えないクレーターを、チャンドラヤーンはたくさん捉えています。これはもう羨ましい限り。右図はチャンドラヤーン2号の撮影状況に近いアングルを自作プログラムで再現したマッピング。経線が上の方に集まっている点が北極点です。なおチャンドラヤーン2号の月面探査目標は月の南極側なのでお間違えなく。

地球上ではアマチュアでもリモート天文台が使える時代ですが、近い将来、アマチュアによる「リモート月周回望遠鏡」を持つ時代は来るでしょうか?そうなったら面白いだろうなあ。

2019年の台風15号が発生2019/09/05


20190905-1500衛星画像
昨日気象庁から「台風になるかも知れない」と発表があった熱帯低気圧が、本日5日15:00に台風15号「ファクサイ/FAXAI」になったとのことです。直前の台風14号発生から2日と12時間後、14号消滅から1日と18時間後の発生となります。13号はまだ活動中なので、現在はダブル台風です。

左は発生時刻の気象衛星画像(画像元:NICT/画像処理・地図等は筆者)。赤点線円は各台風中心の直径1000km円を表しています。13号は「非常に強い台風」クラスで、いま正に先島諸島や沖縄本島を通過中。とてもクッキリした台風の目の直下になってしまった宮古島では観測史に残る様な暴風となっているようです。

いっぽう本日発生した15号は本州直撃コースを取っている様で、暴風域を伴いながら7日頃に小笠原諸島を通過、翌日には本州太平洋側に接近する予報が出ました。早め早めの対策をしてください。

板垣さんが発見した新天体が見えない…2019/09/06

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少し前になりますが、9月2日夜に山形県の板垣公一さんがM31・アンドロメダ銀河に16等の新星らしき天体を発見したそうです。板垣さんは8月4日にも同じM31中心近くに新天体を発見していますが、今回は更に中心寄り。写してみたかったけれど、当地・茨城は悪天続きで星が全く見えません。

昨夜も夜半までは雲が多かったのですが、日付が今日になって少し経ったころから薄明までわずかな晴れ間が訪れました。モヤか霧がかかった様な空で、ときおり薄雲の通過もありましたが、せっかくのチャンス。新天体に望遠鏡を向けてみました。

ところが画像を仕上げてみると(左上画像)、該当位置に恒星状の天体は見つかりませんでした。銀河光に埋もれる位置のため、いくつか処理アルゴリズムを変えてみましたが、やはり見つかりません。左上画像のインサート部分は銀河中央付近を白黒反転高コントラスト処理したものですが、板垣さんの発見画像には黄色丸の位置にAより明るく、Bより暗く、Cと同程度の恒星状天体が写っています。だから撮影コンディションが悪かったとか、画像処理過程で白飛びや黒つぶれで消えてしまったわけではなく、天体そのものが急減光してしまったのでしょう。うむむ、残念…。

20190906アフリカーノ彗星(C/2018W2)
夜明けまで時間があったので、彗星も撮ってみました。7日夜にマクノート彗星(260P)とアサシン彗星(C/2018N2)が大接近し、既に今朝の段階で1.2°余りまで寄っていました。これを撮りたかったのですが、M31の撮影と同じ機材では二彗星が入らず、機材を交換する時間もありません。南側のモヤも多くなっていたので、天頂近くのアフリカーノ彗星(C/2018W2)にしました(右画像)。

日に日に明るさを増すアフリカーノ彗星ですが、移動も速くなりました。今までの設定ではもう彗星が伸びて写ってしまいます。今後は撮り方を変えなくてはなりませんね。緑のコマと一緒に、南西(右下)に向かうダストの尾も写っている気がします。街中+霞んだ空ですからこれ以上は望めませんが、良い空で観る/撮る機会を持てる方はじっくり観察してくださいね。