お近くに自然災害伝承碑はありますか?2019/07/22

地図記号・自然災害伝承碑
人が「記憶や経験を忘れる」ことは短所でもあり、長所でもあります。良い経験や印象深い思い出も、あるいはトラウマ級の酷い体験や苦い記憶も、内容や程度を問わず、忘れたり、忘れなかったりするのです。

1ヶ月あまり前、国土地理院が新しい地図記号「自然災害伝承碑」を公開しました。左のマークがその記号です。地図上にこれが記された場所には、洪水や津波、地震、火山などの被害を忘れないよう、後世に伝えるべく立てられた記念碑が立っています。(※旧表現で「紀念碑」と書いてあるところもあります。)北海道から沖縄まで、広く分布していますね。

近年は続け様に自然災害が起こっているし、それを知る手段も多様です。ただ、そうであっても人間という生き物は教訓を忘れてしまうのです。忘れたくて忘れる方もいますし、関心が無くて忘れる方もいます。忘却は誰もが持つ「心の防衛本能」ですから、ひとくくりに悪いこととは言えません。むしろ忘れることを前提に防災計画や避難誘導を講じる必要があるでしょう。ただ、辛い気持ちに心が押しつぶされるのを防げたとしても、実際に被害に遭って命を落とすようでは元も子もありません。辛くても、たまには振り返ってみてください。そのための伝承碑ですから。

特に引っ越しして新しい街に住むのなら、日用品店や飲食街の場所だけでなく、散歩がてら伝承碑と避難場所をしっかり確認しておくことをお勧めします。大災害なのだから、インフラが破壊されたり、スマホを水没させて情報が得られなくなることは当たり前と考え、着の身着のままでどう対処できるか、と言ったシミュレーションは大切に思うんです。伝承碑にどうすれば良いか書いてあるところもありますよ。

地理院地図では伝承碑の正確な座標が分からなかったため、大元の地図データを拾い直して再度地図化したものを下に掲載しました。マークをクリックすると詳細を表示します。版権の関係で当ブログに写真は掲載しませんが、地理院地図では写真も見ることが可能です。6月19日公開の初期バージョンは158ヶ所でしたが、7月12日の更新で182ヶ所、7月31日の更新で217ヶ所、9月1日の更新で278ヶ所と次々に追加され、増え続けています。年内に数百ヶ所になる見込みとのこと。お近くに碑があれば、ぜひ訪ねてみましょう。記念碑の場所が直接の災害場所とは限りませんが、地形や気象状況と碑の位置とを照らし合わせたら、何かピンと来るかも知れませんよ。



  • 国土地理院の自然災害伝承碑GeoJSONファイルをLeafletマップで再構築しました。
  • 地図をドラッグすると中央+字位置が地図下に表示されます。
  • 元データの伝承記述様式が統一されてないため、内容が変わらない程度に修正してあります。(全角半角、スペース、句読点記号の統一など。)
  • この地図を将来に渡って積極的にバージョンアップする予定はありませんが、2019年内は地理院地図改訂に応じてこちらも適宜改訂するかも知れません。


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