パプアニューギニアのウラウン山で大きな噴火2019/06/27

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先日千島列島の雷公計島で成層圏に届くレベルの火山噴火があったばかりですが、昨日6月26日にはパプアニューギニアのニューブリテン島にあるウラウン山(標高2334m)で大きな噴火があったそうです。噴煙は昨日16:30JST時点で63000フィート(約19200m)に達したようで、雷公計島を上回る高さでした。

左画像は26日15:00の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。茶色の噴煙がモコモコと吹き出しているのが分かりますね。このあたりはいつも雲が多くてはっきり確認できませんが、少なくとも前日には火口から煙が立ち上っていることが分かりました。

噴火の最初の兆候が分かるかどうかひまわりの赤外画像を遡ったところ、昨日の朝9:20JST画像に火口が熱くなっていることを示す光を見つけました。右下画像、赤矢印のところです。可視光では雲ばかりで何も見えませんでした。地球観測衛星なども探しましたが、撮影タイミングが悪く写っていませんでした。

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雲が発達したり移動する高度10km前後までの大気は「対流圏」、その上は「成層圏」と呼ばれます。成層圏は対流圏ほど不安定ではないため、いったん火山灰などが成層圏に達するとなかなか落下せずに、数年レベルで漂い続けることが知られています。そうなるとオゾン層が破壊されたり、地上へ届く日射エネルギーが減って気候に影響し、深刻な農業被害を出す恐れもあります。

成層圏と対流圏の境界(対流圏界面)は緯度や季節により高さが変わりますが、今回のウラウン山のような赤道近くでは18km程度、雷公計島あたりだと10km程度、極域では8km程度。従って、この一週間の両噴火とも火山灰が成層圏を汚してしまった可能性は大きいでしょう。不幸中の幸いなのは、噴火が1日以内で落ち着いていることです。

すぐどうこうなってしまう事ではないし、数年後にどんな気候変動が出るのか(出ないのか)、火山の振る舞いのみで語ることはできませんが、少なからず影響が出るかも知れないということを忘れないようにしましょう。

参考:
アーカイブ:気象衛星が観た火災や火山(ブログ内)


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