一週間後に皆既日食が起こります2019/06/25

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ちょうど一週間後の2019年7月2日UTに皆既日食が起こります。今年地球のどこかで見える三回の日食のうち二回目に当たります。(一回目は1月6日に日本でも見えた部分日食。三回目は今年の暮れ、12月26日夕方に日本で観察可能な部分日食。)

今回の日食、日本時間では翌日明け方(3日3:00頃から6:00前まで)にあたり、しかも部分日食すら見えない「日本の反対側」での現象。日食旅行に出かける方以外は中継で楽しむ以外に無いでしょう。皆既帯のほとんどが海の上なので陸からの観察地は限られますが、皆既帯からあまり遠くない場所にブラックホール撮影の一端を担ったアルマ望遠鏡がありますので、抱き合わせツアーなども企画されたようです。

それはともかく、お金が無くて行けない方のために、(いつものごとく)気象衛星からの「月影観察」をご案内。「日食」を言い換えると「月から伸びる影の一部または全部が地球のどこかを覆う」現象です。日食時に空の上から地上を見ることができれば、街や野山が月の影で暗くなる様子を観察できるでしょう。現地で自由に飛行機やドローンを飛ばせる方はやってみると良いかも知れませんが、なかなかそうもいきません。それを代行してくれるのが気象衛星というわけ。日食そのものの観察ではないけれど、これはこれで非常に面白いですよ。

20190702日食図
周回衛星と違って静止気象衛星は1ヶ所からの地上風景を高頻度で撮影するため、刻々と影が移動する様子まで分かります。しかも天気に左右されることは絶対にありません。日本時間2017年8月22日明け方に北米で起きた皆既日食を三種類の衛星で追いかけた様子を2017年8月22日記事などに残してありますのでご覧ください。

問題は静止気象衛星のカメラ範囲に月影が入るかどうか(日食帯を写し込んでいる静止衛星があるか)ということ。これを自作プログラムにより計算したのがアーカイブ「静止気象衛星による日食月影の可視範囲」。左上画像は気象衛星ひまわりの撮像範囲と今回の日食マップを重ねたシミュレート図です。ご覧の通り、画像右下に日食帯の一部が見えていますね。わずかですが、これは期待!気象庁サイトで容易に確認できそうです。

いっぽうアメリカの気象衛星GOES-16やGOES-17は日食帯の大部分をカバーしますから、かなり面白くなるでしょう。右図はNASA Eclipseサイトからの引用で今回の日食図。日食が最大となるポイント(Greatest Eclipse)の地上経度は西経108°58.8′とあります。これに対してGOES-16は西経75.2°、GOES-17は西経137.2°の赤道上空にいますから、うまく挟み込んでますね。衛星がメンテナンスなどにならない限り連続観察できそう。当日は可能な範囲で当ブログでも追いかけてみようと計画中です。

参考:
気象衛星がとらえた日食月影(METEOSAT編)(2017/08/26)
気象衛星がとらえた日食月影(GOES編)(2017/08/24)
気象衛星がとらえた日食月影(HIMAWARI編)(2017/08/22)
いよいよ今夜、皆既日食(2017/08/21)
8月の皆既日食で月影は気象衛星から見えるかな?(2017/06/25)
気象衛星がとらえた金環日食による月の影(2016/09/01)
気象衛星がとらえた日食による月の影(2016/03/09)

※静止していない衛星が捉えた2017年8月22日日食月影の例(外部サイト)
NASAのDSCOVR衛星がとらえた日食月影(NASA news)
NASAのTerra衛星がとらえた日食月影(Earth Observatory)


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