木星のような?水蒸気の渦 ― 2019/05/30
昨日たまたま見かけたtenki.jpのトピックスで興味深い画像が紹介されていました。気象衛星ひまわりが撮影した29日朝の「水蒸気画像」に奇妙な波模様が写っているというのです。
ひまわりは可視光波長だけでなく遠赤外域まで16バントに分けて幅広く撮影しており、そのうち三つの赤外バンドで水蒸気量を測っています。バンド8(中心波長6.2μm:上層水蒸気量)、バンド9(中心波長6.9μm:上・中層水蒸気量)、バンド10(中心波長7.3μm:中層水蒸気量)という振り分けです。
前述記事にそって見てみると、なるほど波模様が見つかりました。左画像は29日9:00JSTのバンド8画像(画像元:RAMMB/地図等は筆者)。朝鮮半島の付け根付近にあって、可視光画像では雲ひとつ写ってない地域です。 これはアニメーションにすると面白そうだと考え、発生直前の明け方3:00からほぼ消え去る21:00までの30分おき画像を全て使ってgif動画にしてみました。右画像をクリックすると再生します。容量が1.7MBあるのでご注意。最後まで残っていた渦は最終的に能登半島までやって来て消えました。
模様をアニメーションで見ると、波と言うより「大きな蛇行の周囲にできた小さな連なる渦」のようですね。いわゆる「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の雲」にそっくりですが、KH不安定はふつう速度が異なる上下の二層界面で発生するので、上下に波打つ形になります。でも今回のものは地面に対して水平に展開してますね。しかも他の2バンドでも渦が連続して見えていたので、高度方向にも運動している現象のようです。こういう渦はなんと呼ぶのでしょうね?
どうにも既視感があったので、過去の水蒸気画像を2年分ほど見返しましたが見つかりませんでした。ただ、地球では滅多に見えないけれど、木星などを観察している方々にはお馴染みの渦なのかも知れません。
左はNASA-JPL画像ライブラリからの引用で、惑星探査機JUNOが撮影した木星の大赤斑周辺。このあたりをつぶさに見ると、カルマン渦はもとより、大赤斑やOval BAなど大回転するエリアとそれを囲む雲の境界で、前述の水蒸気渦みたいな模様がたくさん観察できます。もちろんスケールも組成も環境も全く違う惑星を同じ土俵で比較することはできませんが、何らかの共通する理屈があるのかも知れませんね。
ここ20年ほどでだいぶ小さくなった大赤斑に、最近は「隈取り」ができて新たなステージに入ったなどというニュースも流れています。専門家ではないから詳しい仕組みまで分からないのが悔しいところですが、地球の渦も惑星の渦も、どんどん解明していってほしいと思います。
ひまわりは可視光波長だけでなく遠赤外域まで16バントに分けて幅広く撮影しており、そのうち三つの赤外バンドで水蒸気量を測っています。バンド8(中心波長6.2μm:上層水蒸気量)、バンド9(中心波長6.9μm:上・中層水蒸気量)、バンド10(中心波長7.3μm:中層水蒸気量)という振り分けです。
前述記事にそって見てみると、なるほど波模様が見つかりました。左画像は29日9:00JSTのバンド8画像(画像元:RAMMB/地図等は筆者)。朝鮮半島の付け根付近にあって、可視光画像では雲ひとつ写ってない地域です。 これはアニメーションにすると面白そうだと考え、発生直前の明け方3:00からほぼ消え去る21:00までの30分おき画像を全て使ってgif動画にしてみました。右画像をクリックすると再生します。容量が1.7MBあるのでご注意。最後まで残っていた渦は最終的に能登半島までやって来て消えました。
模様をアニメーションで見ると、波と言うより「大きな蛇行の周囲にできた小さな連なる渦」のようですね。いわゆる「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の雲」にそっくりですが、KH不安定はふつう速度が異なる上下の二層界面で発生するので、上下に波打つ形になります。でも今回のものは地面に対して水平に展開してますね。しかも他の2バンドでも渦が連続して見えていたので、高度方向にも運動している現象のようです。こういう渦はなんと呼ぶのでしょうね?
どうにも既視感があったので、過去の水蒸気画像を2年分ほど見返しましたが見つかりませんでした。ただ、地球では滅多に見えないけれど、木星などを観察している方々にはお馴染みの渦なのかも知れません。
左はNASA-JPL画像ライブラリからの引用で、惑星探査機JUNOが撮影した木星の大赤斑周辺。このあたりをつぶさに見ると、カルマン渦はもとより、大赤斑やOval BAなど大回転するエリアとそれを囲む雲の境界で、前述の水蒸気渦みたいな模様がたくさん観察できます。もちろんスケールも組成も環境も全く違う惑星を同じ土俵で比較することはできませんが、何らかの共通する理屈があるのかも知れませんね。
ここ20年ほどでだいぶ小さくなった大赤斑に、最近は「隈取り」ができて新たなステージに入ったなどというニュースも流れています。専門家ではないから詳しい仕組みまで分からないのが悔しいところですが、地球の渦も惑星の渦も、どんどん解明していってほしいと思います。