マウナロアの二酸化炭素濃度が415ppm突破2019/05/14

20190514MaunaLoaCO2
去年2018年の5月頭にハワイのキラウエア火山が噴火したことを覚えていらっしゃる方は多いと思いますが、同じころ同じハワイのマウナロア観測所(NOAA-Mauna Loa Observatory/MLO)で観測史上初めて二酸化炭素濃度(日平均)が410ppmを突破した報道が流れたことまで思い出せる方は少ないのではないでしょうか。もちろんこれは火山が直接原因になったのではありません。噴火前から続く継続した変化です。

このときMLOのデータをダウンロードして二酸化炭素濃度のグラフを描いて思案に耽ったものでしたが、僅か約1年後の今日、今度はMLOの測定値が415ppmを突破したというニュースが飛び込みました。舌の根も乾かぬとは正にこのことか…。左は同観測所サイトからの引用で、今日時点で最新の測定グラフ。12日の日平均が415.27ppmとなっています。(※時間平均データでは4月29日や5月3日に四捨五入416ppmが出ていることにも注目です。)

高校のころ「大気中の二酸化炭素体積比は約0.04%」と教わりました。二酸化炭素は海面や植物による吸収や放出があるので1年周期変動が見られます。北半球では夏から秋にかけて減り、冬から春は増え、ピークは概ね4月から5月。南半球ではピークがズレるようですが、北半球に比べて緑が多い陸域が少なく海洋が多いため、そもそも年変動自体が少ないようです(→参考:気象庁サイト)。毎年のピーク値は元に戻らず増加の一途。だから5月のニュースになってしまうのでしょう。

下にマウナロアの二酸化炭素濃度(元データ:マウナロア観測所)および岩手県綾里の二酸化炭素濃度(元データ:気象庁)の推移グラフを掲載しました。期間は1987年始から最新まで(MLOは先週5月5日までの週平均、綾里は2018年12月までの月平均)、スケールは揃えてありますが、一部データ欠損や速報値を含みます。地域環境が違いますから変動差はありますが、ハワイの例を出すまでもなく国内観測も去年から415ppmを越え出していたんです。ここ2年ほどは下限でも400ppmを下回ることがなくなりました。

増加ペースは加速していますので、このままだと20年も経たないうちに450ppmの大台に乗るでしょう。CO2削減などと言ってますが全く進んでない現状なので、個人的には地球規模で昔の大気環境に戻せる可能性は皆無だと思っています。未だに「温暖化イコール(短期的な)気温上昇」と短絡してしまってる方が多くて閉口しますが、そんなに簡単な話ではないでしょう。差し当たって私たちが直面するのは異常気象の常態化と考えられます。空好き、星好きの方々も他人事ではありません。星を見に野山の奧まで車の排気ガスをまき散らし、離島や海外まで遠星するため航空機を飛ばせば飛ばすほど星が見えなくなる環境を作っている、という自覚をお持ちの方は何人くらいいらっしゃるのでしょう?

多少の暑さ寒さなら私たちは慣れることで適応できるけれど、天気が安定せず曇ってばかり、透明感を失った閉塞的な空が毎日続くなんて、ガッカリだと思いませんか?でも残念ながら、こどもたちはそんな未来を受け入れなくてはなりません。数十年前の空を思い出すと、既にそう言う傾向はとっくの昔に始まってる感じがします。興ざめで胸が痛い話とは思いますが、目をそらさず深く深く考えてみてくださいね。

  • MaunaLoa-chart

    A.マウナロアの二酸化炭素濃度推移
  • Ryo-chart

    B.岩手県綾里の二酸化炭素濃度推


参考:
マウナロアの二酸化炭素濃度、その後は?(2019/05/24)
マウナロアの二酸化炭素濃度、更にその後。(2019/06/02)