平成から令和へ2019/04/30

桜と月
桜咲く季節に次の元号が発表になってから、はや1ヶ月。間もなく平成時代が終わり、明日5月1日から令和時代が始まります。

「令和」の呼称原典とされる万葉集は、国会図書館サイトを通じてオンライン閲覧することができます。下A画像は国立国会図書館デジタルコレクションからの引用で、「令」と「和」が記された万葉集・巻五「梅花歌三十二首」の該当箇所。「于時初春令月 氣淑風和」の一節がどこに書いてあるか探してみてください。

同じ万葉集には、自然の光景を詠んだものがたくさんあり、ごく一部には月や星も登場しています。下B画像は巻八に登場する「七夕」の歌の一部。「久方の天の川瀬に舟浮けて今夜か君が我がり来まさむ」の歌と、それに続く「牽牛は織女と天地の別れし時ゆ…」の長歌のところです。またC画像は「秋の七草」の由来とされる歌を収めたページ。どちらも山上憶良の作品です。まだかな文字が誕生していない時代ですから読みづらいかも知れませんが、日本語の音を漢字の音で代用した、いわゆる「万葉仮名」なので、なんとなく理解できてしまうのが面白いところですね。

時代は変わっても星月や自然の移ろいに大きな変化はありません。高々100年間ほどの人生で感じ考え悟れることは、1300年前の万葉のころとそう違わないでしょう。人類共用知識の増加と、多少寿命が延びたがゆえに伸び代が増えた程度かなと思います。しかしながら、花鳥風月を愛でる気持ちは変わらないつもりでも、私たちを育むはずの自然環境は確実に減ってしまいました。感情とか感性とか精神とかいう部分は、知らず知らずに退化しているのかも…。万葉をひとひらずつめくっていて、ふとそう感じるのでした。

  • 萬葉集-巻5

    A.万葉集・巻五「梅花歌」
  • 萬葉集-巻8「七夕」

    B.万葉集・巻八「七夕」
  • 萬葉集-巻8「七草」

    C.万葉集・巻八「七草」


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