天気が回復した夜空を観察2019/01/14

20190113_TCP J04364690+2642311
昨夜から今朝にかけて快星に恵まれました。ただ日中が比較的暖かかったせいか、夜の気温もなかなか下がらず、透明度が少し悪化しました。夜半前まで月が残っていたので、空はかなり白っぽかったです。また2m/s程度の風が止まず、長焦点の望遠鏡は使用できませんでした。

火星と並ぶ月が低くなった頃から、眠くなるまで幾つか天体を観察しようと望遠鏡をセット。まずは群馬県の小嶋さんがおうし座に新天体を発見したという情報が流れたので、これを撮影(左画像)。13等台ということなので短焦点で十分写ります。ただ、該当位置にそれらしい星はありませんでした。ちなみに画像内に星が少ない場所があちこち見受けられますが、ここは暗黒星雲が大きく広がっているエリアです。

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右画像は左画像の中央・該当位置を中心に等倍で切り出した画像に、Guideの星図を重ねたもの。ピンクの数字は等級を表します。数字が書いてあると言うことは既に知られている天体です。中央付近には少なくとも15等以上の未知の天体は写りませんでした。他の観測者からも「該当天体が無い」という報告がありました。

新天体を捜索する方々は、見つけた天体が既に知られたものではないか、変光星とか偶然近くを通った小惑星の可能性はないか、カメラのノイズではないか、など、報告前にするべきチェックが山のようにあります。発見に至るまで多くの苦労やリスクがあってのことなので、私は例え間違いだったとしても責める気になれません。今回の「天体」がごく短時間で消えてしまったかも知れないし、他の観測者が捕らえられなかったとしても、必ずしも間違いだったとは言えないでしょう。日々努力を惜しまない捜索者は本当に尊敬します。

さて次に狙ったのは、楽しみにしていた「パンスターズ彗星(C/2016 N6)とM41の接近」です。M41とはおおいぬ座のシリウスのすぐ南にある散開星団。小型双眼鏡ならシリウスと一緒に楽しめます。この星団のすぐ側をパンスターズ彗星が数日かけて通過するのです。最も近づくのは15日夜と16日夜。でももうかなり近くにいたのです(下A画像)。残念ながらこの彗星の光度は12等を下回るのでウィルタネン周期彗星のように見栄えはしませんが、原画をよくよく見ると北北西方向に短い尾が見えて可愛らしい。この彗星は約1年前から北空に見えており、この1年間はさほど光度を変えずに南天までやって来ました。少し暗いけれど長く楽しめた彗星ですね。

もうひとつ、ウィルタネン周期彗星(46P)も最後に撮影。一昨日天気が崩れる前に撮影したときは予定通りの露出が出来ませんでしたので再挑戦です。もう数日経つと月が大きくなって明け方まで残るようになるため、淡い天体観察は今のうちに…。

  • 20190113パンスターズ彗星(C/2016 N6)

    A.パンスターズ彗星(C/2016 N6)
  • 20190114ウィルタネン周期彗星(46P)

    B.ウィルタネン周期彗星(46P)


参考:
ウィルタネン周期彗星(46P)に関係する記事(ブログ内)

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