明るい月夜に彗星と超新星観察2018/10/29

20181029_ステファン・オテルマ彗星(38P)
昨夜から今朝にかけ、夜半までは雲が多めだったものの、明け方にかけて透明度の良い空になりました。朝まで明るい月が残る時期ですが、せっかくの晴れ間なのでもったいないと思い、25日に続いて超新星AT2018hnaを撮影しようと準備しました。ただ相変わらず近所の電線から抜けるまで時間があったので、ステファン・オテルマ彗星(38P)を撮影しつつ待つことにしました。

今朝方の38Pは月との離角が約18°とかなり近かったので、知恵を絞って、月を建物に隠しつつ彗星だけが見えるような位置で撮影しました。こうすることでフードや鏡筒内に入り込む迷光を無くすることができます。この手法は太陽近くの金星を撮影するときなどにも使う方法です。38Pは月明かりにも負けず緑のコマが良く写りました(左上画像)。すぐ近くにある明るいオレンジ色の星はNP Gem(HIP 33929)・約6等星。

20181029_AT2018hna in UGC7534
さて4時近くなったので、今度は登ってきた北斗七星の一角に輝くAT2018hnaを撮影しました(右画像)。こちらも月明かりのためモニター上で超新星は全く見えませんが、最終的な画像処理後にはちゃんと写っていました。前回は白黒カメラでの撮影でしたが、今回はカラーです。この辺りは銀河が多くて楽しいですね。

なお発見後のスペクトル分析などにより、この超新星はTypeIIであるとのことでした。もともと暗い星ですから私のカメラでは長期間追い切れませんが、これから見やすい位置に登ってくるので、余裕があれば時々様子を見ようと思います。

今日の太陽と至近距離の金星を一緒に撮影2018/10/29

20181029太陽
朝から気持ちの良い快晴です。南の低空に雲があるのみで、後は青空ばかり。こんな日は久しぶり。

20181029太陽リム
左は10時少し前の太陽。活動領域はありません。右リムの上下のプロミネンスが少し目立つだけで、極めて静穏ですね。裏側含め、しばらく変化は無いかも知れません。

さて、金星の内合に併せて太陽観測衛星SOHOの画像を載せましたが、SOHOに迫るのは無理でも、「太陽と金星とを地上から一緒に写せないか」という考えが頭をよぎっていました。内合の金星は極めて太陽に近いですが、太陽をうまく遮光できれば望遠鏡で拡大撮影できます(→2015年8月の例など)。でもそうではなくて、「一緒の画面に写すことができるか?」ということです。明るさが大きく違いますし、金星のほうは極細になっているため、写野を広げたら解像力が落ちて写りにくくなるでしょう。どれくらいの望遠レンズでどのような手法なら写せるでしょうか?あるいはトライするだけ無駄なのでしょうか?

20181029太陽と金星
何もしないで理屈をこねるのは性分でないので、まずは手っ取り早く日食観察用の減光フィルムを窓枠に貼って太陽部分だけ遮光し、できるだけ低感度・絞れるだけ絞った設定とし、飽和しないギリギリで撮影しました。低感度・最小絞りにするのは細い金星が粒状ノイズに紛れないようにするため、また露出を伸ばすのは細身で光度が下がっている金星に合わせるためです。

太陽至近を撮影すると分かりますが、空気中を浮遊するチリがあちこち光って星のように写ります。またセンサー上のゴミがブラックホールのように写ります。このため、フラット補正と多数コンポジットは必須となるでしょう。右は180mm+APS-Cカメラで10枚コンポジットした作例。どうにかこれで金星と太陽とが一緒の画面に写ることは確認できました。(※太陽部分は暗すぎたので部分的に輝度調整しました。)ただ、眩しすぎてうまくピントが合わせられないことや、大気の揺らぎで金星が太ってしまったこと、減光フィルムが安物なので太陽が不鮮明になってしまったなど、反省点も盛りだくさん。またいつか挑戦したいと思います。

今夕も木星と水星の接近を楽しむ2018/10/29

20181029木星と水星の接近
今夕も晴れたので、昨夕の反省を踏まえて少し早めに木星と水星の接近を撮影しました。今日の両惑星は3°あまりの離角でした。ここ数日では今日が一番接近しており、明日からはどんどん遠ざかってしまいます。

東へ離れてゆく水星は、11月7日に東方最大離角になったあと再び太陽側へ戻り、11月28日には木星との距離を満月直径より近い程度まで縮めるでしょう。でもその頃の両惑星はほぼ「合」の位置、つまり太陽のすぐ側ですから、肉眼で見ることはできません。

参考:
アーカイブ「天体の接近現象一覧」