火星の自転と衛星の公転を写す2018/08/24

20180822火星自転と衛星公転
二日前の22日夜に撮影した火星の画像がやっと仕上がったのでお届けします。この日は火星の南中時刻頃に、ちょうど衛星フォボスとダイモスが両方とも火星から離れるというベストタイミング(→8月2日記事参照)。うまい具合に天気が持ってくれたので衛星込みで撮影を試みました。と言っても火星本体と衛星とは光度差がありすぎるため、撮り分ける必要があります。

今までの経験から、手持ちの機材だと火星本体に対して100倍程度の露出差でギリギリ衛星を写せる可能性がありました。強烈に拡大しているため、11等以下の星を0.5秒くらいで写さないと星像がぶれてしまいます。今回は衛星の移動まで確認したかったため、30分のインターバルを置いて2シーン撮影しました。そうして仕上がったのが左上画像です。衛星は暗いので、大気の揺らぎや望遠鏡の振動等の影響でキリッとした点像にはなりません。特に二枚目は薄雲が火星にかかり始めたため衛星像が肥大しています。「100枚程度の動画を平均したもの」と言ったほうが肥大の原因を直感的に理解しやすいでしょうか。参考までに、この画像横幅は約70cm離れて見た0.5mmシャープペンの芯幅程度のごく狭い画角なんですよ。ビックリでしょう。撮影にどれほど神経を使うか、想像してみてください。

20180822火星と衛星の図
衛星は一見動いてないように見えますが、わずかに移動しています。右図はGuideによるシミュレーション。衛星軌道も計算して重ね描きしてみました。上方向が天の北方向で、火星位置を固定して30分おきの2シーンを重ねています。衛星は両方とも西方最大離角を終えて火星裏側へ向かい始めたところですね。また火星は逆行から留に向かう直前なので、遠くの恒星は火星に対して東南東(左やや下向き)へ動きます。

困難を極めたのはやはり衛星撮像に写り込む本体の強烈な光やスパイダー光条の処理。これをいかに取り除くかが、今回のチャレンジで時間を裂いたところでした。何重にも渡る画像処理を丁寧に進めたところ、写らないと思っていた背景の14等台の恒星までわずかに取り出すことができました。

下画像は、左上画像を加工してGIF動画にしたもの。火星位置を固定して、2シーンが2秒ごとに切り替わります。衛星と恒星は暗いので上下に棒マーカーを付けてあります。衛星と恒星の移動はそれぞれ向きや移動量が違うことや、火星本体も自転して模様が変わることなど一目瞭然です。もう一回くらいチャレンジしておきたいテーマですね。

20180822火星自転と衛星公転


参考:
2018年火星の地球接近に関する記事(ブログ内)

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