見えない渦の力で急カーブする台風12号2018/07/27


20180726-0900気象衛星画像
台風12号は「強い台風」クラスとなって小笠原諸島を暴風域に巻き込もうとしています。またその後の経路予報がどんどん変化し、当初は中心が関東付近に上陸する予報だったのに、今日12:00時点では紀伊半島から四国付近に上陸するかも…という具合です。どうしてこんなに急カーブを描いているのでしょうか?

天気予報の解説では「寒冷渦」とか「藤原効果」といったキーワードが出ています。寒冷渦は当ブログで時々掲載してきましたが、例えば2016年3月28日の記事にあるような、北海道東沖に度々出現するものが有名ですね。でも今回台風12号の進路を大きくねじ曲げたのは「目に見えない水蒸気の渦」でした。

左上画像は26日9:00の気象衛星ひまわり画像(画像元:RAMMB)。ただし通常の可視画像ではなく、水蒸気の上層部を映し出したものです。台風11号と12号に挟まれた関東東側の太平洋上(ピンク丸線の位置)に渦構造が確認できますね。これが水蒸気の渦なのです。同時刻の可視画像を見ても、渦はおろかまとまった雲などもほとんど見えません。

接近した渦同士は、互いをはねのけ合ったり、絡め取ったりと、双方の移動方向や力関係、気圧差、高度差などによってかなり複雑に変化します。台風や低気圧でも同様です。奇しくもちょうど1年前の2017年7月27日記事で、まさに弱体化した台風6号が台風5号に「巻き取られる」現象を取り上げました。今回の12号も、水蒸気の渦との相乗効果で進路が急カーブしてしまうわけです。

アニメーション
言葉で言うより動画で見たほうが分かるので、12号発生の25日3時から本日27日12時まで3時間おきの水蒸気画像を使ってGIF動画を作りました。右画像をクリックすると表示できます。(注:2MB近くあるので、表示に時間がかかる場合があります。※下に画像を追加した大きめの手動アニメーションも用意しました。動画ファイルではありませんのでサクサク動かせると思います。)

動画を見ると、北海道東沖にあった水蒸気の渦が台風11号で南西に押し出された後、12号と対峙しています。その後互いを巻き取るかのような動きとなり、12:00現在急カーブを始めた段階です。今後更に「巻き込み」が進行し、本州縦断コースに入るのでしょう。「太平洋高気圧の縁に沿って進む」という以外に、こんな「見えない渦の力」によっても台風経路は変化するのですね。こういう画像が撮影できなかった時代は、さぞ不思議だったことでしょう。台風、おそるべし。


【29日朝追記】
発生から29日3時まで丸四日間の画像を使い、改めて「手動アニメーション」を構成したので下に提示しておきます。南西に進んできた寒冷渦によって台風12号の進路が大きく左カーブしたことが分かるでしょう。動画だと小さい画像の割に容量が大きくてブログの制限に引っかかるのと、前進後退やステップ再生ができないので手動にしました。画像下のボタンで操作してください。





参考:
強大なノロノロ台風5号、どこへ向かう?(2017/08/02)……奇妙な動きをした台風のケース
台風の幽霊…?(2016/09/25)……今回のような水蒸気の渦が台風近くにあったケース
台風10号の様子(2016/08/30)……関東付近から沖縄付近へ移動し、また関東へ戻った2016年台風10号
今年の台風は異例尽くめ(2016/08/22)……本州付近から西や南西に移動した台風の例


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