特別警報が発令中2018/07/07

20180701-6日間総降水量
昨夜から京都府・兵庫県・鳥取県・岡山県・広島県・福岡県・佐賀県・長崎県に特別警報(大雨)が発令されています。本日7日6:00現在も解除されていないどころか、強い雨はまだ継続しています。(追記:本日7日午後には岐阜県にも発令されました。)

一点一点グラフを描いていても埒があかないので、アメダスデータを利用して、7月に入ってから今日0:00までの6日間に降った雨を全て合計し地図化してみました(左図)。サラサラとおとなしい雨なら1日中ふっても10mmに満たないでしょう。でもこの集計を見るとあまりに凄まじい。6日間で数百ミリでも相当多いと思うんですが、1000mmを越えてるところもあるんです。

【降水量集計・トップ20】
アメダス地点(県)今回の
降水量合計
(mm)
年降水量
平年値
(mm)
魚梁瀬(高知県)1328.54107.9
本山(高知県)1147.52616.2
木頭(徳島県)1069.03092.4
大栃(高知県)925.52774.2
繁藤(高知県)902.53122.2
鳥形山(高知県)879.5
池川(高知県)783.52793.9
京上(徳島県)782.02209.4
北山(佐賀県)775.0
樽見(岐阜県)773.53228.9
早良脇山(福岡県)704.0
成就社(愛媛県)700.02689.1
ひるがの(岐阜県)691.53288.3
本川(高知県)667.53077.2
長滝(岐阜県)662.53003.5
御嶽山(長野県)656.0
関市板取(岐阜県)629.0
船戸(高知県)624.03328.7
伊万里(佐賀県)614.02133.1
えびの(宮崎県)610.54393.0

  • ※2018年7月1日0:00−7日0:00の6日間におけるアメダス観測値から算出。
  • ※各地点の実際の降り始めがどの時点だったかは考慮しません。
  • ※年降水量が書いてないものは統計期間が短いなどで平年値が求まっていないケース。
特に多いところの数値を具体的に挙げると、右表のようになります。元々降水の多いところもありますが、それでも年間降水量の3割から4割程度がこの6日間に降ってしまったことは脅威です。北海道では多くの地方で年間降水量が1000mm以下ですから、北海道1年分が降ってしまったと考えれば凄まじいですよね。

特別警報は今日午後から明日にかけて徐々に解除される見込みとのことですが、それで雨がすっかり止むわけでも無いし、危険がなくなるわけでもありません。土砂災害は忘れた頃やって来るし、大きな地震はしばらく起きないという保証もありません。特に数日遅れてやって来る台風の影響が全く読めないので、十分な警戒が必要でしょう。(下図は気象庁サイトからの引用で、本日7日9:00時点の土砂災害警戒判定メッシュ地図。昨日の同時刻より悪化しています。)

毎年こんな状況なら、いっそこの雨を発電に使えないかと夢を描いてしまうのです…。ダムとかじゃなく、各家庭や集落単位で設置できるように画期的なコンパクトシステムで。


20180707-0900土壌災害危険度


遠日点通過日の変化2018/07/07

20180703太陽
今日は七夕ですが、それに勝るとも劣らない天文分野の重要なイベント、「地球の遠日点通過」があります。地球が今公転の中でもっとも太陽から離れる日ですね。でも当地・茨城は曇り空。昨日までの激しい雨に比べたら薄日が差すくらい回復していますが、太陽を観察できるほどではありません。

仕方がないので、左に4日前の太陽画像に経緯度線を描て掲載しました。まぁ数日間で顕著に視直径が変わることはありませんから、今期一番小さく見えるはずの太陽です。ひと頃より活動領域はめっきり減って、第24太陽周期もそろそろ終わる様相ですね。

ところで、記憶の良い方なら去年や一昨年の遠日点通過日がもっと早かったことを覚えていらっしゃるでしょう。私は記憶の印象として「アメリカ独立記念日ごろ」と覚えているのですが、今年は七夕までずれ込みました。実は2015年も7月7日だったんです。遠日点通過日はどうしてずれるのでしょうか。そしてどの程度のずれ幅があるのでしょうか。

国立天文台サイトにとても明解な説明がありました。近日点や遠日点は春分や夏至などのように「黄道座標系での地球位置(黄経)」で決めるのではなく、あくまで「太陽と地球の距離」で決まります。だから一見するとかなりランダムとも取れるばらつきがあるのですね。太陽系は太陽と地球しか存在しないわけではないから、たくさんの惑星が地球の移動に干渉してきます。中でも大きなものはすぐ側を回るお月様。月相によって地球位置がずれ、太陽から遠ざかるはずの遠日点通過の際に太陽へ近づく動きとなったり、その逆になったり、かなり複雑です。詳しくはリンク先をお読みください。

サイトにある「近日点通過日の変化グラフ」を、遠日点でも作ってみたいと思いました。半日かかってプログラムを組み、描いたものが下のA・B図です。遠日点と近日点の両方について、1950年から2050年まで計算してあります。薄い緑線はそれぞれの通過日時の際の「月と太陽の黄経差」を算出したもの。遠日点通過のときに月が下弦から新月へ向かう(=月が太陽へ近くなる)タイミングに重なると、バランスを取るため地球はより外側へ向かいます。このタイムラグが、遠日点通過の遅れとして現れるのです。逆に上弦から満月へ向かうタイミングなら、地球が太陽へ近くなりつつ遠日点通過が起こるので、より早く現象が済んでしまうわけです。

近日点通過の場合は全てが逆になるので、黄経差を逆向きに測った値でグラフ化しました。(本質的には変わりません。)遠日点通過よりも近日点通過のほうが、シンクロ具合は分かりやすいですね。またグラフ全体を見ると、緩やかな周期で増減していることも分かるでしょう。1960年台よりも最近のほうが遠日点通過が遅い傾向にありますね。今年の遠日点通過は今回計算した101年間のなかで7番目に遅いものでした。5年後の2023年は3番目に遅いです。といっても、今日と比べて4時間も変わりませんが。とてもデリケートな、遠日点のお話しでした。

  • 遠日点通過日の推移

    遠日点通過日の推移
  • 近日点通過日の推移

    近日点通過日の推移


※今回グラフを描くのに計算した数値の一部は「アーカイブ:地球の近日点通過日と遠日点通過日」として登録してあります。必要に応じてご利用ください。