南西諸島の梅雨 ― 2018/05/09
当地・茨城を含む日本の半分ほどは、梅雨のような不安定な天気がここ数日続いています。私の自宅周囲では夜の気温が10度近くまで下がる日もあり、急ぎ足で桜が咲いてしまった3月・4月の陽気は何だったのだろう…という思いです。梅雨に半月あまり先駆けて雨模様が続くのは「走り梅雨」などと呼ばれますが、1ヶ月も先行するのはいくらなんでも早すぎですね。本州南岸には梅雨前線と言ってもおかしくない前線が停滞してますし…。
ところで、一昨日7日に奄美地方、昨日8日には沖縄地方が梅雨入りしました。梅雨の入明は地方毎に気象庁から発表されますが、南西諸島に関しては「奄美地方」と「沖縄地方」とに分けられます。全長1200kmもある本州並みの広い海域ですから当然と言えば当然。でも特別な境界(特に気象的に明快な特徴の違い)は無さそうなので、「連続して梅雨になるのでは?」と思えてしまいます。地図を見ると奄美大島と沖縄本島は結構接近しており、島の間隔が広いのはむしろ沖縄諸島と先島諸島の間や、あるいは奄美群島と吐噶喇列島以北の間です。3つに区切ったほうが良いかも?
ところが面白いことに奄美の梅雨入りと沖縄の梅雨入りはあまり一致しません。気象庁サイトで公開されているデータから去年までの日付差をグラフにしたのが左上図。日付差が二週間以上の年もありますね。また、南の沖縄より北の奄美のほうが早く梅雨入りすることがしばしばありましたが、最近は少なくなったようです。更に、このグラフの範囲では、奄美が先行して梅雨明けすることはほとんどありませんでした。エルニーニョ・ラニーニャとの関連も見てみましたが、特に相関は無いようです。期間が短いですし日付決定に人間の判断も入るため、ここから何らかの傾向を見出すのは難しいかも知れません。
ところで、一昨日7日に奄美地方、昨日8日には沖縄地方が梅雨入りしました。梅雨の入明は地方毎に気象庁から発表されますが、南西諸島に関しては「奄美地方」と「沖縄地方」とに分けられます。全長1200kmもある本州並みの広い海域ですから当然と言えば当然。でも特別な境界(特に気象的に明快な特徴の違い)は無さそうなので、「連続して梅雨になるのでは?」と思えてしまいます。地図を見ると奄美大島と沖縄本島は結構接近しており、島の間隔が広いのはむしろ沖縄諸島と先島諸島の間や、あるいは奄美群島と吐噶喇列島以北の間です。3つに区切ったほうが良いかも?
ところが面白いことに奄美の梅雨入りと沖縄の梅雨入りはあまり一致しません。気象庁サイトで公開されているデータから去年までの日付差をグラフにしたのが左上図。日付差が二週間以上の年もありますね。また、南の沖縄より北の奄美のほうが早く梅雨入りすることがしばしばありましたが、最近は少なくなったようです。更に、このグラフの範囲では、奄美が先行して梅雨明けすることはほとんどありませんでした。エルニーニョ・ラニーニャとの関連も見てみましたが、特に相関は無いようです。期間が短いですし日付決定に人間の判断も入るため、ここから何らかの傾向を見出すのは難しいかも知れません。
木星が衝と地球接近を迎えます ― 2018/05/09
本日5月9日、木星が「衝」を迎えます。衝とは地球を挟んで太陽と惑星とが正反対になること。もう少し正確に言うと「何らかの基準座標系で測ったとき、太陽と対象惑星の位置差が180°になること」です。今回の木星の衝は、黄道座標系では5月9日9:39JST、赤道座標系では5月9日17:36JSTとなります。
衝のころの木星は一晩中夜空に輝き、また地球に近くなるため大きく明るく見えます。まさに観察好期と言えましょう。今夜晴れていたら望遠鏡で眺めたいのですが、当地・茨城は明日まで天気が回復しそうにありません。
木星は比較的小さな望遠鏡でも複雑な縞模様や大赤斑(GRS/Great Red Spot)と呼ばれる構造が観察できます。長期に渡って観察していると様々なことに気付かされますが、近年特に言われるのは「大赤斑が小さくなった」ことや「色が薄くなった」こと。少し古い画像ですが、左上画像はNASA・ハッブルサイトで紹介されていた大赤斑の変化。20年ほどの間にこれだけ縮んでしまいました。今後どうなってしまうのでしょうか?長期の継続観察が欠かせませんね。
木星は約12年弱で太陽を一巡りします。いっぽう地球から見た衝から衝までの間隔、つまり「会合周期」は約399日。土星との会合周期・約378日より長いですね。木星が1公転する間に地球と11回近く会合し、その度に距離が極小になるということです。 ひと言で「最接近」と言っても、「1会合周期の中での最接近」と「木星1公転の中の最接近」とふたつのニュアンスで使われることがあって、それぞれ意味が違いますから混同しないようにしましょう。
「火星と地球の接近図」、および「土星と地球の接近図」を作ってきたので、今回は「木星と地球の接近図」を描いてみました(右図)。NASA・HORIZONSによる木星約3公転ぶんの計算データを元にしています。なかなか面白いパターンですね。春分点付近で接近するとき(地球が秋分の頃)がもっとも近くなり、今年の接近は「やや遠い接近」のようです。
下表は接近図に使ったデータからピックアップしました。今回の地球最接近は明日のようですから、お天気回復に間に合うでしょうか?まぁとにかく、梅雨になってしまう前にぜひ木星を堪能してくださいね。アーカイブ「木星の衛星現象一覧」なども参考に衛星も一緒に観察してみましょう。
参考:
火星の大接近まであと4ヶ月!(2018/03/31)
衝のころの木星は一晩中夜空に輝き、また地球に近くなるため大きく明るく見えます。まさに観察好期と言えましょう。今夜晴れていたら望遠鏡で眺めたいのですが、当地・茨城は明日まで天気が回復しそうにありません。
木星は比較的小さな望遠鏡でも複雑な縞模様や大赤斑(GRS/Great Red Spot)と呼ばれる構造が観察できます。長期に渡って観察していると様々なことに気付かされますが、近年特に言われるのは「大赤斑が小さくなった」ことや「色が薄くなった」こと。少し古い画像ですが、左上画像はNASA・ハッブルサイトで紹介されていた大赤斑の変化。20年ほどの間にこれだけ縮んでしまいました。今後どうなってしまうのでしょうか?長期の継続観察が欠かせませんね。
木星は約12年弱で太陽を一巡りします。いっぽう地球から見た衝から衝までの間隔、つまり「会合周期」は約399日。土星との会合周期・約378日より長いですね。木星が1公転する間に地球と11回近く会合し、その度に距離が極小になるということです。 ひと言で「最接近」と言っても、「1会合周期の中での最接近」と「木星1公転の中の最接近」とふたつのニュアンスで使われることがあって、それぞれ意味が違いますから混同しないようにしましょう。
「火星と地球の接近図」、および「土星と地球の接近図」を作ってきたので、今回は「木星と地球の接近図」を描いてみました(右図)。NASA・HORIZONSによる木星約3公転ぶんの計算データを元にしています。なかなか面白いパターンですね。春分点付近で接近するとき(地球が秋分の頃)がもっとも近くなり、今年の接近は「やや遠い接近」のようです。
下表は接近図に使ったデータからピックアップしました。今回の地球最接近は明日のようですから、お天気回復に間に合うでしょうか?まぁとにかく、梅雨になってしまう前にぜひ木星を堪能してくださいね。アーカイブ「木星の衛星現象一覧」なども参考に衛星も一緒に観察してみましょう。
【木星と地球の接近】 ※衝の日時とは若干違いますのでご注意。
地心接近日時 (JST) | 地心距離 (AU) | 地心距離 (km) | 光度 (等) | 赤道視直径 (秒角) | 極視直径 (秒角) |
---|---|---|---|---|---|
2000年11月27日 0:08 | 5.035713169763 | 605774898 | -2.85 | 48.69 | 45.53 |
2001年12月31日 10:02 | 5.170543878222 | 626435541 | -2.72 | 47.08 | 44.03 |
2003年2月2日 4:15 | 5.312411994696 | 647331010 | -2.59 | 45.56 | 42.60 |
2004年3月4日 18:15 | 5.417081847015 | 662068182 | -2.50 | 44.55 | 41.66 |
2005年4月4日 22:41 | 5.456497651426 | 666704844 | -2.47 | 44.24 | 41.37 |
2006年5月6日 8:47 | 5.420894608159 | 660131329 | -2.50 | 44.68 | 41.78 |
2007年6月7日 21:11 | 5.318829555674 | 643926563 | -2.60 | 45.80 | 42.83 |
2008年7月10日 20:02 | 5.177465775689 | 622479692 | -2.73 | 47.38 | 44.31 |
2009年8月15日 12:14 | 5.040457190232 | 602554221 | -2.86 | 48.95 | 45.77 |
2010年9月21日 6:19 | 4.957693073166 | 591499346 | -2.94 | 49.86 | 46.63 |
2011年10月28日 3:40 | 4.963074316676 | 593866337 | -2.93 | 49.66 | 46.44 |
2012年12月1日 23:56 | 5.054050104937 | 608643980 | -2.83 | 48.46 | 45.31 |
2014年1月5日 2:37 | 5.193549920402 | 629870942 | -2.70 | 46.82 | 43.79 |
2015年2月6日 16:05 | 5.332083761947 | 650182391 | -2.57 | 45.36 | 42.42 |
2016年3月9日 3:13 | 5.427915422271 | 663518173 | -2.49 | 44.45 | 41.57 |
2017年4月9日 6:27 | 5.455896904375 | 666443793 | -2.47 | 44.25 | 41.38 |
2018年5月10日 20:55 | 5.409074236218 | 658204960 | -2.52 | 44.81 | 41.90 |
2019年6月12日 12:04 | 5.298947000723 | 640863181 | -2.62 | 46.02 | 43.03 |
2020年7月15日 18:54 | 5.155609840690 | 619234619 | -2.75 | 47.63 | 44.54 |
2021年8月20日 14:27 | 5.024842304343 | 600366401 | -2.88 | 49.12 | 45.94 |
2022年9月26日 11:15 | 4.954952550799 | 591295196 | -2.94 | 49.88 | 46.64 |
2023年11月2日 6:02 | 4.974336755971 | 595753790 | -2.91 | 49.50 | 46.29 |
2024年12月6日 19:00 | 5.074257081848 | 611759749 | -2.81 | 48.21 | 45.08 |
2026年1月9日 17:06 | 5.214912713874 | 633051109 | -2.68 | 46.59 | 43.57 |
2027年2月11日 0:31 | 5.347764656083 | 652414327 | -2.56 | 45.21 | 42.27 |
2028年3月13日 10:49 | 5.433917671280 | 664262059 | -2.49 | 44.40 | 41.52 |
2029年4月13日 15:04 | 5.451164456179 | 665548016 | -2.47 | 44.31 | 41.44 |
2030年5月15日 7:37 | 5.395262847270 | 655996160 | -2.53 | 44.96 | 42.04 |
2031年6月17日 5:38 | 5.279981480805 | 637950467 | -2.64 | 46.23 | 43.23 |
2032年7月20日 16:13 | 5.137156685971 | 616520005 | -2.77 | 47.84 | 44.73 |
2033年8月25日 16:43 | 5.012880039508 | 598727369 | -2.89 | 49.26 | 46.06 |
2034年10月1日 14:33 | 4.953920786676 | 591367866 | -2.94 | 49.87 | 46.64 |
2035年11月7日 5:04 | 4.984581891883 | 597465328 | -2.90 | 49.36 | 46.16 |
2036年12月11日 14:35 | 5.091526067463 | 614424447 | -2.80 | 48.00 | 44.89 |
- 接近図は木星が地球に接近するときの位置関係を軌道図で示したものです。(1600ピクセル四方の大サイズ画像ですのでご注意。)地球軌道に対して垂直に、黄道の北極側から南極方向を向いて描きました。黄緯方向のズレは考慮していません。また背景の恒星はステラナビゲーターを使用しています。
- 惑星と太陽の大きさは原寸比率通りではありません。
- 計算はNASA・HORIZONSにより2000年から2036年まで1分刻みの精度で行いました。計算値は適当な桁数に丸めてあります。
参考:
火星の大接近まであと4ヶ月!(2018/03/31)