まもなく小惑星に到着予定のはやぶさ22018/03/04

20180226はやぶさ2から見たリュウグウ
日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は、目的地である地球近傍小惑星「リュウグウ」に残り3ヶ月ほどで到着します。探査機に搭載された望遠光学航法カメラ(ONC-T/Optical Navigation Camera-Telephoto)によってリュウグウを撮影したというJAXA報道が数日前にありました。左画像および右下画像ははやぶさ2プロジェクトサイトからの引用で、撮影されたリュウグウ画像。動いているのがリュウグウです。

さて、この画像を見て何か違和感を覚えました。しばらく考えたのですが分かりません。そこで、どの辺りを撮ったものか特定してみることにしました。右下画像にHIP1535という恒星が示されているので、その近くということは分かります。HIPというのは「ヒッパルコス星表」によるカタログ番号のこと。

20180226はやぶさ2から見たリュウグウ
幸い、撮影成功が報道された3月1日の前日に「はやぶさ2小惑星遷移軌道計画情報」の改訂版が発表されていました。精度はあまり良くありませんが、地球、探査機、リュウグウそれぞれの位置が分かります。必要なのは「地球から見たリュウグウ位置」ではなく、「はやぶさ2から見たリュウグウ位置」。でもこれは遷移軌道計画情報に直接書かれていませんので、計算して求めます。(※背景の星は非常に遠いので、地球と変わらないと仮定します。)

計算結果をステラナビゲーター用の表示ファイルにして描いたものが下A・B星図。(以下、全ての星図は上方向を天の北方向にした赤道座標系で描いてあります。)今年1月から5月中旬まで示しました。B図はA図の緑矩形内を拡大したもの。はやぶさ2がリュウグウを撮影したのは2月26日ということなので、その辺りを見ると確かにHIP1535がありました。ただ前後の日付を見ると分かりますが、小惑星は左上に向かって移動していますね。当記事最初のGIF動画と移動方向が違います。違和感の正体は画像の向きが『北が上になってない』ことでした。

はやぶさ2とリュウグウの状態
あらためて撮影画像とB画像の恒星を照らし合わせ、対応する複数の恒星にマーカーを入れたのがC図です。TYCは「ティコ星表」による番号。回転させて向きを揃えれば、現在の小惑星は探査機に対して予報と矛盾せず(赤道座標系の)東北東方向に移動していることが分かるでしょう。逆に考えると、画像内容からカメラ(=探査機)がどんな回転角(ローリング)にあるかも分かります。撮影画像と星図が若干ずれているのは、発表位置精度や星図分点補正などが正確ではないからと考えられます。

なお、地球から見たはやぶさ2位置を下のD・E・F・G図に示しました。また各種の状態をグラフにして左に示しました。探査機は今年6月以降小惑星位置に一致します。2019年12月以降の探査機位置は発表されていません。各スケジュールはあくまで予定です。アマチュアが使う小さな望遠鏡では探査機も小惑星も見えませんが、空を見上げてエールを送ろうと思います。地球帰還のころは小惑星も明るくなるので、是非とも撮影したいですね。

  • はやぶさ2から見たリュウグウ位置

    A.はやぶさ2から見たリュウグウ位置(全体)
  • はやぶさ2から見たリュウグウ位置

    B.はやぶさ2から見たリュウグウ位置(拡大)
  • 20180226はやぶさ2から見たリュウグウ

    C.はやぶさ2から見たリュウグウ

  • はやぶさ2の位置(20180228改訂版)

    D.2018年1月から4月
  • はやぶさ2の位置(20180228改訂版)

    E.2018年4月から6月

  • はやぶさ2の位置(20180228改訂版)

    F.2018年6月から9月
  • はやぶさ2の位置(20180228改訂版)

    G.2018年9月から12月


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