12月中旬から短期間に台風がふたつも発生しました。どちらもフィリピン東沖から西進し、大雨や土砂災害を引き起こしています。上はアメリカの地球観測衛星MODIS(Aqua)によるミンダナオ島南部の画像。台風被害に遭う前の12月5日、16日に台風26号が島の北を通った3日後の19日、そして22日に27号が島を直撃した2日後の24日、三枚を並べました（画像元：NASA-WORLDVIEW）。

24日画像の中央に茶色の水たまりが出現していますね。コタバト州カバカン付近です。ここだけ見て取れる範囲をザッと例えると沖縄本島の4分の1くらいの面積が水没しています。きっと他の地域も同様でしょう。標高を調べてみるとほとんどが10mから20m台の一様に広がる地形で、大雨が降り続いたら排水が間に合わず平野一帯に水が溢れかえるのではと思われます。今年8月にハリケーンHarveyによって洪水に見舞われた低地ヒューストンを思い出しました。

26号、27号共に低緯度で移動したことが特徴で、特に今日現在まだ「強い台風」として現役である27号の中心位置は北緯10度を一度も越えていません。速報値ですが、発生時の「北緯9度00分」というのが最北なのです。この時期に北上すると台風が活動維持できるほど海水温は高くないですから、当たり前と言えば当たり前。逆に言うと、北緯10度あたりでは冬でも台風が猛威を振るえるということです。

過去に低緯度台風はどの程度存在したのでしょうか？気象庁のベストトラックから集計した表を下に掲載しておきます。予想していましたが、冬場、あるいは春先に集中していることが分かりますね。本日正午現在27号は発生から105時間経過しており、今後ベトナムにも接近する見込みのため、付近ではまだしばらく注意が必要です。