霜降る未明の三彗星2017/12/22

昨夜から今朝も晴れたので、日付が変わる頃から彗星を三つ撮影しました(下画像A・B・C)。日中から気温がいつもより2度ほど高く、夜半まで氷点下になりませんでした。そのためか至るところで結露したまま日付が変わり、そこから一気に凍り付きました。

パンスターズ彗星(C/2016 R2)はいまひとつ尾が写らず、あるのか無いのか分からない状態です。ハインズ彗星(C/2017 T1)は星図ソフトの彗星軌道要素を更新してやっと中央に捉えることができました。とても彗星っぽい姿ですね。ここまで天体用白黒カメラで撮影、この後機材調整のため一眼レフに交換し、カラーで紫金山彗星(62P)を撮影。画像上部中央右寄りのボウッとしたところはNGC4713、彗星の左やや下にもNGC4734が写っています。いずれの画像も上方向が天の北、彗星位置基準コンポジット、画角はまちまちです。

明け方までにそこかしこは霜だらけ。夜明け前に登るベガはもう高く感じ、南東にはさそり座の一部が見え始めました。この星座配置を見るともうすぐ年明けという気分になります。

  • 20171222パンスターズ彗星(C/2016 R2)

    A.パンスターズ彗星(C/2016 R2)
  • 20171222ハインズ彗星(C/2017 T1)

    B.ハインズ彗星(C/2017 T1)
  • 20171222紫金山彗星(62P)

    C.紫金山彗星(62P)

参考:
ハインズ彗星(C/2017 T1)に関係する記事(ブログ内)
パンスターズ彗星(C/2016 R2)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2017/12/22

20171222太陽
朝から雲が多くなり、昼過ぎまで日差しが少ない冬至となりました。午後からは綺麗な青空が戻ってきました。

20171222太陽リム
左は11:45前の太陽。小さな雲間を使って無理矢理撮りつないでいます。今日はプロミネンスがほとんど見えませんでしたが、左上の活動領域12692の黒点が目立ってきて、久しぶりにX線フラックスもざわついています。極小期に差しかかってる太陽ですが、たまに小さな活動領域を見かけるたび嬉しくなりますね。

衛星画像どこが変わった?2017/12/22

  • 20171129-1800goes-r

    2017年11月29日18:00
  • 20171214-1630goes-r

    2017年12月14日16:30

まずは上の画像をご覧ください。これはアメリカの静止気象衛星GOES-16(打ち上げ時名称:GOES-R)が撮影したそれぞれの日時の様子。日が違うので雲などは変化していますが、それ以外にもっと大きな変化があるんです。分かりますか?

実は、地球上に見えている地形の位置が違います。もちろん大陸が移動してしまったという話は聞きませんから、これは「撮影しているGOESの位置が変わった」のですね。2016年11月に打ち上げられたGOES-Rは2017年11月末まで当初の予定位置よりも西にずれた場所で待機(試験運用)していました。今月前半に予定位置まで衛星を移動する作業が行われ、18日から正式運用が始まったのです。静止気象衛星と言いながらも、こうして静止軌道上を行き来する機能を持たせているんですね。

衛星直下点の経度、つまり地球画像中心の経度で言うと、11月までは西経89.5度(待機位置)だったものが、今は西経75.2度(運用位置)という変化。約15度東へ移動したため、アフリカの西海岸がちょっと見えるようになりました。ここはハリケーンや砂塵嵐が生み出される場所ですから重要です。

GOESシリーズは西経75度上で大西洋側を監視する東チーム「GOES-EAST」と、西経135度上で太平洋側を監視する西チーム「GOES-WEST」で二元運用されており、GOES-16は晴れてGOES-EASTの主となりました。なおNASAのスケジュールによれば、次のGOES-Sは2018年3月に打ち上げられる予定です。GOESシリーズのR、S、T、Uは四つ子の同型衛星として製造されています。