大増光している彗星・小惑星遷移天体エケクルス2017/12/10

20171209パンスターズ彗星(C/2016 R2)
昨夜から今朝にかけてよく晴れました。日中少し暖かかったせいか、透明度は前夜より落ちています。でも途中で曇ってしまう恐れはなさそうなので、月が登る前から天体撮影を始めました。

まずは前夜の観察で露出不十分に終わったパンスターズ彗星(C/2016 R2)。左画像は約1時間の露出です。右下に原因不明の虹色ムラが入ってしまいましたが、彗星は何とか写りました。核がはっきりしており、例のごとく青い尾のようなものが広がっています。月の出前に露出を終えていますので月光の影響は少ないですが、夜半前は光害が多く、その影響があります。

20171209エケクルス彗星(174P)
パンスターズ彗星の露光中に色々調べていたら、エケクルス彗星(174P/または小惑星エケクルス)が増光しているとの情報を見つけました。この天体は「彗星・小惑星遷移天体」の仲間で、かつて彗星だったのに彗星活動が衰えて、小惑星状に見えているものとされます。計算上は現在約18等星のはずですが、三日前の12月7日ごろ突然に約14等まで明るくなったというのです。

エケクルス彗星はくじら座とおひつじ座の境界付近にいて、パンスターズ彗星撮影直後の時点でまだ南西の空高く捉えることができました。私の望遠鏡で18等は写りませんが14等なら写ります。ひとまず30分ほど露出したのが右画像。緑▼印がその彗星です。

彗星のようなコマや尾は無く、小惑星のように見えていますね。付近にある光度の近い恒星に明るさを記入してみました。みなさんはエケクルス彗星が何等級だと見積もりますか?少なくとも18等ではなさそうで、間違いなく大増光していますね。いったい何が起こった???普通に考えたら、安定した小惑星が突然明るくなったりしませんから、蒸発物噴出など何らかの突発的彗星活動(アウトバースト)が起こったと見なすのでしょうけれど…。

20171209小惑星ファエトン
エケクルス彗星を撮っている頃に月が隣家から顔を出しましたが、もうひとつ彗星・小惑星遷移天体を撮影しました。11月16日にも観察した小惑星ファエトンです。この小惑星が彗星だった頃にまき散らした塵が「ふたご座流星群」を引き起こし、毎年話題になっています。

今週中頃にピークを迎えるふたご座流星群ですが、時を同じくして母天体であるファエトンも地球に接近しています。前述の11月16日の観察とは比べものにならないほど明るくなっていて、30分露出を恒星位置基準で比較明合成したらクッキリとした線状の軌跡が浮かび上がりました。わずか1分の露出でも動いて写り、見かけの動きはとても速いです。

右は撮影画像から切り出して作った動画です。30分間の移動の早回しですから、実際にこのような速度で動くわけではありません。でもとても明るくて目立つ様子はみなさんにも伝わるでしょう。

撮影上で幾つかトラブルがあり、あまり出来のいい画像にならなかったのが心残りですが、これから月の影響も少なくなるので、またしつこく狙ってみようと思います。なおこれらの画像は上方向が天の北、上下画角は約0.7°、ファエトン以外は彗星基準のコンポジットです。

参考:
パンスターズ彗星(C/2016 R2)に関係する記事(ブログ内)

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