大きな大きなOak Moon2017/12/04

20171204_18001月
昨夜から今朝にかけてはとてもよく晴れて、透明度の良い空でした。日付が本日4日に変わってすぐの頃に満月を迎え、初冬の月見としては最高の条件です。

左は4日0:47過ぎに撮影した満月。太陽黄経差180.01°、撮影高度は65°弱、月齢15.17です。南中を少し過ぎたころなので高高度で撮影でき、冬の悪いシンチレーションも多少回避できました。2017年11月の満月時に紹介した北極探検家ロバート・ピアリーさんのクレーターなども確認できます。

約1年あまり前の2016年11月14日は2016年で一番大きな満月でした。「68年ぶりのスーパームーン」などと騒がれましたね。昨夜の満月も2017年ではいちばん大きいです。ただしスーパームーンと呼ぶにふさわしいかどうか微妙なところ。アーカイブ「大きい満月」を調べたとき作った1900年からの200年間の満月比較リストによると、昨夜の満月は地心基準で253位(視直径:33′22.13″)、茨城県つくば市における測心基準では34位(視直径:33′51.9″)。真夜中の南中前後に満月…つまり観測者が最も月に近い位置で満月になったのが幸いして、測心比較ではかなり上位でした。でもスーパームーンを冠するなら、せめて20位くらいに入ってほしいですね。

2017満月大小比較
右は今年最小だった6月9日の満月と比べた画像。もちろん同じ機材で縮尺を変えずに撮っています。半分に切って上下に並べるとこんなに違うんだってビックリしますよね。これは地上で撮影していますから、測心(観察地中心)での比較です。一般に報道などで流れている情報は地心(地球中心)の値なのでお間違えなく。

また満月の瞬間は(月食にならない限り)月の北側または南側のどちらかが必ず欠けています。右画像を見ると6月の満月は南側(下側)、昨夜は北側(上側)がわずかに欠けていることが分かりますね。こういう差異を見つけて楽しむのも一興ですよ。なお来月2018年1月は2日と31日の二回満月があるため、31日は「月間重複のブルームーン」となります。また31日の満月は皆既月食となります。ブルームーンなのに赤銅色の皆既月食が見られるなんて、何というレアな状況…。

さて、実はこの満月の側におうし座のヒアデス星団がいました(下A・B画像)。北海道北部ではアルデバランが月に隠される掩蔽現象が起きています。プレアデス星団やヒアデス星団などおうし座の星々は月の通り道に近いため、接近や掩蔽が起こりやすいのです。 来年2018年にもいくつか掩蔽が予定されていますが、中でもグレージング(接食掩蔽)を起こすおうし座の恒星(4等星以上)が、B図の文字で示した4つの星です。このなかで肉眼二重星であるθ1・θ2は日本で昼間の時間となるため観察できませんが、残り2つは大丈夫。アルデバランは2018年1月27日19時頃、δ1Tauは2018年11月24日2時頃で、どちらもかなり高高度です。楽しみですね。

  • 20171204月とヒアデス

    A.満月とヒアデス
  • 20171204月とヒアデス

    B.満月とヒアデス(文字入り)


参考:
アーカイブ:月の形(黄経差180度以上、216度未満)