今年の流氷の元ができ始めました2017/11/30

20171128オホーツク海の結氷
北海道や東北などはもう雪がかなり降っているようですが、衛星画像でもっと北のほうを眺めると、すっかり真っ白になっています。二日前の28日、雲間からオホーツク海沿岸のシベリア陸域が綺麗に見えたのでじっくり観察してみました。日本に来る流氷の元となる海氷が既にできつつあるようです。

左はアメリカの地球観測衛星MODIS(Terra)によるオホーツク海北西沿岸の衛星画像。見るからに寒そうですね。見ている範囲は右下画像の緑枠内です(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。緯度にして北海道の15°ほど北側です。

20171128気象衛星
画像内の右下へ向かって筋状に伸びるのは冬の日本海でお馴染みの雲ですが、海岸沿いから雲とは違う白いものが沖合へ向かっています。これは海水が凍った部分。もう少し正確に言うと、純粋な海水ではなく、河川や陸部から流れ出た淡水と海水が混ざった汽水域が発端となって凍り始めた部分と推定できます。暖かい海に囲まれている日本ではまず見られない光景ですね。

水が凍り始めるのは0度ですが、海水は塩分などが溶けているのでマイナス1.8度まで下がらないと凍りません(凝固点降下)。結氷は塩分濃度に左右されるだけでなく、海中の対流にも影響されます。水深の深い海では対流に厚みがあるため、海面が極寒にさらされても暖かい海水の供給があって容易に凍らないのです。オホーツクの海は北側が陸に遮られているため、カナダのハドソン湾などと違って北極側から直接冷たい海水や海氷が流れ込む余地すらありません。

でも冷たい淡水が混じって塩分濃度が下がるオホーツク沿岸はマイナス1.8度より高くても凍り始める、という特殊事情があります。加えてかなりの遠浅。下A図から分かるように、浅い大陸棚の広さは日本近海の何倍にも及んでいます。一日を通して海が結氷する気温にさらされ続ける季節を迎えると、海面はもちろん氷点下まで下がります(下B図/NOAAの公開資料より)。そして浅い海ほど海中まですぐ結氷温度に達してしまうため、この海域は早い段階で凍ってしまうのです。なおオホーツクの海氷は翌年初夏には完全に溶けてしまうため、流氷は毎年新しいものに更新されて日本へやってきます。

  • オホーツク海海域の水深

    A.オホーツク海海域の水深
  • 20171128SST-NOAA

    B.11月28日の海面温度


【蛇足】 B図で紀伊半島から静岡にかけての南海域が舌状に変色しています。これが「黒潮の大蛇行」と見られます。この海域は例年よりも冷たくなっているんですね。この影響で太平洋側に大雪が降る可能性が指摘されています。(→関連記事。)