光害地での天体撮影(冬の南天に広がる星雲)2017/11/22

20171122馬頭星雲からオリオン大星雲
勤労感謝の日に向かって次第に天気が崩れる予報でしたが、昨夕はまだよい星空でした。夜半頃起きだして何か観察しようと思いましたが、ここ数日ひととおり彗星ばかり撮影したので、今日は違うものを…と悩んでしまいました。

登ってきたシリウスを仰いでいるうちに、久しく「わし星雲(かもめ星雲)」すなわちIC2177を撮ってないなぁ…前に撮ったのは学生の頃フィルムカメラだったかなぁ…何十年前かなぁ(笑)…撮ってみようかなぁ…と連想が進み、撮影してみることにしました。

と言っても機材を準備した0時時点でまだ低かったので、小手調べとしてオリオン座の三つ星下に広がる馬頭星雲や燃える木、大星雲あたりまでを1枚に収めてみました(左画像)。約90分露出で、光害カットフィルターのみの使用です。ストレートに撮ると大星雲の高輝度部分が白飛びしますが、今回は撮影練習と言うことで未対処。

派手目な処理は好きではないけれど、光害あふれる平地でどこまで写っているか確かめるのに、ガチガチに仕上げてみました。うーん…。いまいち。見えないものが写るというのはワクワクしますが、いっぽうで「なんか違う…」という思いもあるんです。目的にもよるんですけどね。なお大星雲南側に左右に流れる傷のような淡い線が見えますが、これはたくさんの静止衛星と思われます。

20171122_IC2177付近
さて、やっとIC2177が南中前の時間になりました。本当に写したかったのはこっちです。2時間露出の設定で開始したところ、わずか20分で南から雲がやってきて、あっと言う間に全天曇ってしまいました。右画像は使えるコマだけで合成したもの。ザラザラですね…。うーむ、残念。またいつかリベンジしましょう。

IC2177は撮影者によって構図、画像処理、画角などがかなりバラバラ。これほど「定番」がない星雲も珍しいでしょう。鳥の形に見せるため故意に傾けたり、中心部のアップだったり、冬銀河と一緒に広写野で撮影したり…。右はIC2177の赤い星雲だけでなく、NGC2353やNGC2345などの美しい散開星団を一緒に収めるため、意図的に星雲を右へシフトしています。

天の赤道より南にある天体を当地で撮ると、必ず画像南側が大きくかぶります。街灯やカラオケ屋の光は「不夜城」のごとく明け方近くまで容赦ありません。南の空にも面白い天体はたくさんありますが、どうやっても光害は避けられないわけです。南側の淡い星雲をカメラに収めるのは果てしない努力と飽くなき探究心が必要ですね。(※右画像はあれこれいじって光害カブリを誤魔化しています。)

参考:
光害地での天体撮影(しし座の三連銀河)(2017/03/01)
光害地での天体撮影(かみのけ座のNGC4565)(2017/03/02)


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