秋分の太陽位置は春分と何が違うの?2017/09/23

20170923太陽
昨夜から今朝まで雨が続きました。今日も昼過ぎまでは日差しの少ないお天気。午後遅くなってようやく青空が広がったため、太陽観察をしました。

20170923太陽リム
左の太陽は15:15頃の撮影。活動領域12680はもう確認できません。12681は昨日とあまり変わらない雰囲気。中央右寄りにやや活発な領域が見えます。左リムに大きめのプロミネンスが見え始まりました。楽しみですね。右リムにも小さいけれど明るいプロミネンスが見えました。

20170923秋分の日
さて、今日は秋分。昨日から北東の風が舞い込んでいるせいか、空気が冷たく感じます。さすがは「暑さ寒さも彼岸まで」ですね。14時台まで雲量が8割ほどあってパッとしませんでしたが、15時前頃から西空に爽やかな青空が現れ、ものの30分で雲が激減しました(左画像)。長続きしそうにない晴れ間だけれど、一時でも気持ちよい空を仰げることはありがたいですね。

最高気温が22度という低さの割に、秋虫に混ざってまだツクツクボウシの鳴き声が聞こえます。遅く生まれたセミはこんな気温でも生きてゆくしかないのでしょう。近所にあったヒガンバナの花壇、今年は刈り取られてしまったのか全く咲きませんでした。季節感が少しだけ撹乱されてしまってます。

ところで、秋分も春分も昼夜がほぼ同じ時間と説明され、ほぼ真東から登って真西に沈むという状況も一緒です。太陽が真東から登って真西に沈むということは、「太陽が天の赤道に沿って日周する」ということを意味します。では秋分と春分とそれぞれの見かけ上の太陽位置は「天の赤道上で全く同じ」なのでしょうか?

2017年アナレンマ・つくば市
右に、当ブログで度々登場する太陽位置変化(アナレンマ)のグラフを示しました(→記事末の参考リンク参照)。2017年の茨城県つくば市を例に、毎日・毎正時ごとに太陽高度・方位を計算して図にしたものです。直交座標でのプロットで、高さは0°(水平)から90°(天頂)まで、方位は0°(北)から東(90°)まわりで360°(北に戻る)までです。赤いドットは二十四節気の位置を表し、夏至と冬至は大きく目立つようにしました。

ひとつの時刻、例えば正午12:00に注目すると、太陽は1年かけて「長細い8の字」を空に描きます。これがアナレンマ。夏至前後では右(西)から左(東)へ位置が変化し、途中でクロスするため冬至前後も変化の向きは右(西)から左(東)となります。アナレンマが天の赤道と交差する場所が秋分と春分なのですが、この図から分かるようにそれぞれの太陽位置には明らかな差があるのですね。

私たちはこの差を「位置差」としてではなく、「時間差」として感じます。秋分と春分は空を通るコースがほぼ一緒にも関わらず、秋分のほうが日の出も、南中時刻も、日の入りも、春分より早いのです。このつくば市の例では南中時刻が約15分違う計算でした。みなさんがお住まいの場所で何がどれくらい違うのか、ユーティリティ「太陽と月の時刻表」を使って調べてみてください。2015年10月1日の記事で「秋の日はつるべ落とし」の理由を幾つか考えましたが、「日没後の同時刻を比べると、春より秋のほうが空は暗い」と言う今回の結論は理由のひとつに挙げられそうですね。

暦や時計を見なくてもこの時間差を感じ取れるようになれば、私たちは虫や草花に負けないような、季節に鋭敏な感覚を身につけられるかも知れませんよ。似て非なるもの、それが秋分と春分なのでした。


春分と秋分とでの衛星画像の差
(余談)
左は気象衛星ひまわり画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)。2017年の春分と秋分それぞれの、1:00・2:00・3:00における全球画像を並べたものです。

上に述べた「時間差」は、毎日定刻に地球を撮影しているひまわりでも可視光画像の差として現れます。欠け際を注意深く見ると、春分よりも秋分のほうが先行して朝がやってきていることが分かるでしょう。わずかな差なので1枚だけ見ていると全く気が付けませんが、こうして並べればよく分かりますね。

もちろん昼近くに良く見えるサングリント(海面での太陽光反射)の位置や、日没側の欠け際の進行なども異なります。機会があればぜひ比較してみてください。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)


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