2017年の春一番を振り返る2017/02/18

20170217-0900天気図
昨日は関東に春一番が吹きました。当地・茨城県南部でも強い南西の風が汗ばむほど気温を上げ、青空がほこりっぽい一日。夜から曇りに転じた天気は今日になると一転しました。昼時でも10度まで届かず、ずっと曇って肌寒いです。

せっかく二十四節気の「雨水」を迎えたというのに、空を見ても灰色一色。観察できることもないので、昨日の春一番を振り返ってみました。(記事中のデータや衛星画像の引用元は気象庁およびNICTサイエンスクラウドです。)

左は17日9:00JSTの天気図。見事なほど「南に高気圧、北に低気圧、等圧線が東西に延びる」典型的な春一番日和ですね。私の住まい近くにあるアメダスポイント「つくば」と「龍ヶ崎」の10分データを使って、気温と風速のグラフを丸一日ぶん描いてみました(下図)。これを見ると午前中から急速に風が強まっていることが分かります。あたかも急にスイッチが入ったような、とても“デジタル”っぽい変化で、ちょっとビックリしました。なぜ「急にスイッチが入るのか」というのにとても興味が湧きますね。

  • 20170217つくばアメダスグラフ

    アメダスグラフ(つくばポイント)
  • 20170217龍ヶ崎アメダスグラフ

    アメダスグラフ(龍ヶ崎ポイント)

二箇所のグラフを描いて、ふと気付きました。急に風が強まった時刻にタイムラグがあることです。これは高校地学で天気を勉強した頃からずっと抱く考えですが、「高気圧から低気圧に風が向かうと言っても、行儀良く一斉に空気が動くことはないんじゃないか」「車が渋滞するみたいに、ひとつの空気塊がどんなに速く移動しても、前方の空気塊を追い越せないのではないか」「もしそうなら、高気圧から低気圧に向かう途中で渋滞や再加速がどんな規模で起こっているか知りたい」ということをとりとめもなく頭に描いていたことを思い出しました。

20170217春一番の吹き始め時刻
それはともかく、風速ばかりでなくこのタイムラグに注目してみましょう。茨城から南西側にあるいくつかのアメダスデータを使って同様のグラフを描き、そこから「春一番の吹き始め時刻」を割り出してみました。正しい定義ではないかも知れませんが、17日の10分計測のうち、最大瞬間風速が8m/sを3回連続して越えたときの最初の時刻を「吹き始め」ということにして、地図に落としてみました(右図)。

必ずしも風向通りに空気が流れてその地点に到着するわけではありませんが、「風速が強まる」という分かりやすいイベントを追いかけると、概ね南西から北東へ強風域が移動する様子が見て取れます。どなたか根気のある方、もっとポイントを多く&広くして解析してみてください。風という現象が、どれくらい大きな単位の塊として移動するのか、あるいは渋滞したりするのか、この解像度では分かりませんが、いつか突き詰めてみたいです。

20170217砂塵
強い南西の風はたくさんのホコリを舞い上げ、北東の太平洋へ運んだようです。気象予報士・片山由紀子さんによる昨日の記事を拝読して、気象衛星からこの砂塵の帯が見えることを知りました。さっそく見てみると…すごい、本当にしっかり写っていました。

左は10:30から14:00まで30分おきに衛星画像の関東付近を切り出したもの。見やすいよう色彩を変換しています。茨城県の沿岸から、少なくとも2本の太い砂塵の帯が出ていますね。2本に分かれてしまうのは霞ヶ浦が原因でしょうか???

ずいぶん遠くまで…いちばん伸びた頃には少なくとも250km以上は伸びてます。時間によって方向が微妙に変化していることも分かります。まぁ黄砂が大陸から飛んでくることを思えば小さな現象でしょうけれど。

参考:
アーカイブ:気象衛星が観た地球