地球と金星のツーショット期間です2017/01/27


夕空の金星と火星が接近していますが、星図を見てふと気付いたことがありました。この時期、金星や火星が「気象衛星ひまわり」の画像に写っているかも知れないことを。

気象衛星の可視範囲
理屈は次の通り。気象衛星ひまわりは地球の赤道上空でほぼ静止しています。ひまわりから見ると視野の中心に地球の赤道が見え、それに重なるように「天の赤道」が左右へ伸びているわけですね。(※もちろん線が見えるわけじゃないですよ。)ひまわりは地球よりほんの少し外まで撮影していますが、つまりは天の赤道をはさんでプラスマイナス地球半径+α(→天の座標に換算すると赤緯がプラスマイナス約9°)の「宇宙」が地球の後ろを1日に約1回横切るわけです。模式的には右図のようになるでしょう。

もしこの範囲に月や明るい惑星・恒星が入っているときに気象画像を撮影すると、地球と天体のツーショットになるということなのです。(→関連記事)ただし金星の場合は太陽からあまり離れないため、右図のような「日本が昼の地球」と一緒に写ることは絶対にありません。昼間は太陽と共に衛星の後ろ側にいますからね。ひまわりから金星が見えるのは日本が夜中の時間帯なんです。金星が「宵の明星」のときは夜半過ぎ、「明けの明星」のときは夜半前となります。私たちの知識とは逆になりますよ。

これまでも当ブログで月・惑星・恒星が写っていることを紹介してきました。これらの天体のなかで月と惑星は黄道や白道が天の赤道に対して傾いているため、視野角内に入らず物理的に写らない期間があります。計算したところ金星は昨年9月下旬からずっと南に低かったのですが、今年1月12日の東方最大離角の頃からいよいよツーショット期間が始まっていたのです。

20170112地球と金星
1月12日の金星はちょうど南極側を通過し、2:30、2:40、2:50の衛星画像に写っていました。3枚を合成したものが左画像です(画像元:NICTサイエンスクラウド/画像合成は筆者)。大きな画面で見ると臨場感たっぷり。残念ながら最大解像度でも半月状の形までは見えませんが、内合近くだとちゃんと三日月状に見えますよ。

なおこの理屈だと火星とのツーショットも期待できそうですが、2016年春の地球接近から随分経ってしまった今の火星は最も暗い時期を迎えています。ダメ元で探してみたのですが、残念ながら発見できませんでした。でも金星は6月頭までこの範囲に入っています。(※ただし2月下旬から3月下旬まで一時的に逸脱します。)もしひまわり画像をじっくり眺めるチャンスがあれば探してみてください。

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