大寒に降る雪と地球温暖化2017/01/20

20170120雪
二十四節気の「大寒」に合わせるかのように、今日は各地で雪の舞う一日となりました。上空の寒気が南下したそうですが、約1週間前に来た強い寒波ほどではないようで、当地・茨城も昨日から今日にかけていつもよりやや暖かく感じたほど。でも今日7時頃からちらほら雪が舞いました。強く降ることはなかったけれど、結晶が見えるほどの粒がひっきりなしに落ちてきて、冷たい瓦やボンネットを白く染めました。隣家の柚の葉がかき氷を頬張るスプーンのようになっていたのが印象的(左)。2時間ほど降ったあと雨に変わり、全て溶けました。

鹿児島でも雪が降るなど、全国的にも冷えたようです。特に北日本から西日本まで日本海側は暴風雪が酷いようですね。でもそんな日本の事情とは裏腹に、「2016年の世界平均気温が過去最高」とのニュースがNASAとNOAAから昨日発表されました(関連記事1関連記事2)。関連記事を辿るといくつかもの画像や動画が見つかりますが、データをまとめているゴダード宇宙科学研究所(GISS)のサイトから地表の平均気温データが公開されています。こういうのは自分で描かないと実感できないこともありますから、さっそく描いてみました。

世界の平均気温変化
右図は海洋を含む地球表層の平均気温グラフ。なるほど、気温は右上がりに増えていて、2016年はいちばん上になってますね。試しに気象庁が公開しているエルニーニョ監視域のうちNINO.3の海面水温(基準値との差)も年号を合わせて右下に示しました。必ずしも時期がぴったりシンクロしているわけではないですが、目で見ただけでも相関関係があるのは分かりますね。

気になるのは、1970年代からずっと上昇が止まらないこと。エルニーニョやラニーニャは行ったり来たりするものの、上がりっぱなしや下がりっぱなしではありません。「どちらかというと基準以上に高まる振れ幅や期間が長い」ようですが、他の監視域を含めても総合的に平均気温が上がりっぱなしになるのは海水温だけが原因とは考えにくいです。熱が宇宙へ逃げていかない根本的な理由があるのですね。温室効果ガスということが言われますが、ここでは触れないでおきます。

もうひとつ地球が暖まっている証拠と言われるのが、「海氷面積の減少」。海氷とは海水が凍ったもので、北極と南極にたまっています。(1月8日の記事で取り上げた南極の棚氷は海氷に含みません。)海氷面積のデータは気象庁から公開されていますので、これもグラフにしてみました。記事末尾の図Aは公開されている全データ期間のグラフ。半旬とは上旬・中旬・下旬をさらに半分にした期間です。海氷は夏に減少し冬に増加しますが、北極と南極は夏と冬とが逆ですから「位相」が反転していますね。それぞれを合計したものが「全球の海氷面積」。これも1年周期で振動しています。(※グラフが途切れているのはデータの欠損。)分かりづらいものの、北極は減少、南極は増加、全球としては減少のようです。もう少し粗い単位で集計すると増減が分かりやすいでしょう。

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1年単位でも見てみましょう。気象庁は1981年から2010年までの30年間を使って平年値を算出しています。また1979年01月から2016年09月までの極値も公開(今日現在)されていたので、併せてグラフにしました。下の図Bは、折れ線グラフが平年値、棒グラフが半旬ごとの極値幅。そしてこのグラフに2015年と2016年(9月末まで)を描き足したのが図Cです。

明らかに言えるのは「北極側では1年中減少している」こと。しかもほとんど極値下限をなぞるかのような軌跡ですね。一週間前の寒波の記事をまとめていたとき、気象モデルによる解析気温図(平年差)を見ると北極周辺がいつも真っ赤でした。左は本日9:00JSTのもの(引用:Tropical Tidbits)ですが、やはり真っ赤です。恐らくこれが一年ずっと続いているというわけですね。北極圏より少し南にあるヨーロッパや日本は度々寒波がやってくるのに、北極圏の氷は溶けてゆく一方…。ここだけ見ると「あぁそうか、エネルギー保存則なのか」と感じてしまうけど、地球全体では気温が上がっているのです。これをもって「温暖化」と言うのは抵抗があるけれど、ここ半世紀ほど気温が上がりっぱなしである事実は間違いありません。熱が逃げないいくつかの原因をきちんと探る必要はあるでしょう。

  • 海氷面積の推移

    図A
    海氷面積の変化
  • 海氷面積の変化(平年値)

    図B
    海氷面積の年間変化
    (平年値)
  • 海氷面積の変化

    図C
    海氷面積の年間変化
    (2015年と2016年)

参考:
11月に初雪…しかもドカ雪(2016/11/24)

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