朝靄越しにネオワイズ彗星2016/12/21

20161221ネオワイズ彗星(C/2016U1)
昨夜から今朝にかけては良く晴れましたが、昨日日中の気温が高かったせいか大気が霞んでいました。夜半過ぎに昇った月がモヤを照らし、星が見えづらい空…。でも明け方が近づくに連れて透明度が出てきたので、前夜に続きネオワイズ彗星(C/2016U1)を撮影しました。

ネオワイズ彗星は更に高度を下げ、5:00時点でも高度20°あまり。微光星が全く見えず、ファインディングも一苦労です。左は薄明開始をまたいで約20分間の露出で、上が天の北方向、上下画角は約1°です。だいぶ明るくなり、彗星らしい姿になりました。途中で一箇所シャッターの具合が悪く、像が途切れている所があります。

明日からしばらくは天気が安定しない予報です。次にこの彗星を観ることができるのはいつでしょう…?

参考:
ネオワイズ彗星(C/2016U1)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2016/12/21

20161221太陽
冬至の今日は朝から良く晴れています。低空が眩しく、靄がかかっていることが分かります。明け方に氷点下だった気温はあっと言う間に上昇し、11時過ぎの時点でもう13度を越えました。

20161221太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。珍しく南半球右寄りに黒点を伴う領域が見えます。(この時点でまだ番号が分かりません。→22日追記:12620になりました。)北半球の12619はどこにあるのか分かり辛いですね。(中央やや右上です。)プロミネンスは小さいものばかり…。

2016年の冬至です2016/12/21

柚の実
今日は2016年の冬至。関東は良く晴れて気温が上昇、冬至らしくない暖かさです。南中しても高度が低い太陽ですが、がんばって街を暖めてくれているんですね。隣家の柚やキンカンがたわわに実り、間もなく訪れる年末を告げているかのよう。

冬至は太陽の南中高度が一年で最も低く、そのために日射が弱くなります。夏と冬の気候の差は、この太陽高度が支配的なのですね。右下は本日正午の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。パッと見ただけでは全体が明るいようですが、この時期は何時の画像を見ても北極側(上側)に太陽光が当たっていません。白夜の反対、つまり「極夜」の状態です。冬至に極夜となるのは北緯66.6°以北(=北極圏)です。(90°-地軸の傾き。)極夜の地方だけでなく、北半球の大部分の日射が弱くなっているのです。もちろん夏は南北逆になって同様のことが起こりますね。

夏至や冬至近くになると日出没の話題が多くなりますが、昼間の太陽はどうでしょうか?毎日時刻を決めて太陽を観察すると不思議な曲線「アナレンマ」を描くことが知られています(→参考:国立天文台の解説)。ぜひ皆さんも写真を撮って確かめてください。

2016年・冬至の地球
ところで右画像には「日本時間12:00に太陽中心と地球中心とを結ぶ線が地表と交わる点」を今年1年分計算して水色線で描いてあります。線上の小さな丸は二十四節気ごとの位置。日本標準子午線の135°を軸として、縦につぶれた8の字形をしてますね。つまりこれは12:00JSTに「太陽から見た地球の真ん中」あるいは「地上で太陽が真上に来る場所」を1年間たどったものなのです。

気象衛星から見ると地球はほぼ静止しているけれど、太陽から定時に見た地球は気象衛星もろとも8の字型首振り運動をしているというわけ。「太陽から見たアナレンマ」とでも言える曲線ですね。南北非対称・東西も若干非対称なのが印象的。(※実際は自転してますから月の秤動のような動きではなくて、ブンブン回りながら1年かけて8の字を描きます。)

よく地軸の傾きと季節の相関を解説した図として記事下のA図のようなものを多く見かけます。でも人間は自分の立ってる地面の傾きが変化することをなかなか想像し辛いと思うんです。だから地軸を上下方向に揃えてB図のように描いてあげれば、地球に対して太陽が季節ごとに高度を変えることが少し分かりやすくなるのではないでしょうか。川の堤防斜面の上と下とで対話してるイメージをあてはめると良いかも知れませんね。

ついでの話題ですが……こんな時期なのに、本日9時には台風になるかも知れない熱帯低気圧が発生しました(8の字交点の右)。オーストラリア北西にもサイクロンが見えますよ。おやおや、北半球と逆向きの渦ですね。どうしてなんでしょうか?地球はいつも話題豊富です。

  • 季節と地軸

    (A)
  • 季節と地軸

    (B)

参考:
2015年の冬至記事
2014年の冬至記事
アーカイブ:地図で見る日出没の季節変化