二基の気象衛星ひまわりが並びました2016/11/18

ひまわり9号静止投入図
半月余り前の11月2日に種子島から打ち上げられた気象衛星ひまわり9号は静止トランスファー軌道を経て、11日に無事静止軌道へ投入を完了しました(→気象庁報道)。来年3月に待機運用を開始し、2022年には現行の8号とバトンタッチして本格運用に入る予定です。

右は気象庁資料の引用で、静止軌道に至るまでの状況図。実はこの間に「移動中のひまわり9号」を捉えられないか何回か試みたのですがダメでした。11日に静止化したのでやっと狙いやすくなったのですが、残念ながら今度は天候不良…。やっと今朝方、撮影に漕ぎ着けました。

20161118静止衛星
左が今朝4:00前に撮影した画像。およそ4°×3°のトリミングで、上方向が天の北方向に揃えてあります。通常の天体写真は日周に合わせて追尾撮影するのですが、静止衛星は空の位置が固定なので、その方向に望遠鏡を向けさえすれば固定撮影できます。代わりに星々は全て線状の像になります。(※恒星追尾すると衛星のほうが線状に薄まってしまい、非常に写り難くなります。)一見して失敗作にも見える左画像にはそんな事情があるのでした。なお背景が明るいのは月明かりのせいです。

13等程度がシャープに写れば小さい望遠鏡でも問題なく撮影できます。今回はわずか6cmの望遠鏡と一眼レフで直焦点撮影。20秒間隔で6枚(2分間)をコンポジットしました。(※輝点ノイズの誤認を防ぐため、複数枚のコンポジットが必要と考えています。)たぶん多くの方にとって問題なのは、どうやって正確な位置に向けるかということでしょう。高価な導入装置など付いてない我が家の望遠鏡は手動で向ける以外にありません。

幸い晩秋から冬半ばまでの期間は、静止衛星と同じ赤緯を有名なM42(オリオン大星雲)やM48(うみへび座の散開星団)が通ります。衛星と天体とが重なる時刻にこれらの天体を導入できれば、そのまま気象衛星を撮影できるのです。夏ならへびつかい座のM10なども使えそうですね。もちろん恒星をたどることができればM天体を使う必要もありませんが…。この方法だとM天体と衛星撮影とを同時に楽しめるので、自分にはお気に入りの方法なのです。今回は軒下に陣取って月明かりの直射を避けつつ、なんとかM48付近を導入できました。

20161118静止衛星
ひまわり9号は8号のすぐ東側にありました。CalSKYによる予報位置通りです。近くには2008年に打ち上げられた超高速インターネット衛星きずなや、他の静止衛星もたくさん写りました。どこに何があるかは右のマーカー入り画像をご覧ください。今回は試し撮りのつもりでしたので、合成処理以外はしていません。月明かりがない星のきれいな夜に再度チャレンジしたいと思います。あ、ついでに撮影中はしし座流星群を観察しましたが一個も見えませんでした…。

(追記)月明かりがなくなった11月25日に再度撮り直しました。

参考:
気象衛星ひまわり8号の画像(2015/10/07)…M42オリオン大星雲近くで撮影した例です

今日の太陽2016/11/18

20161118太陽
昨夜はほぼ快晴で、今日も朝から良い天気。ただ午後には曇ってきて明日は雨予報です。

20161118太陽リム
左は11時過ぎの太陽。大気が少し乱れているようです。活動領域12610は右に寄ってきました。ここのところフレア活動はBクラス止まりなので、「あまり活動してない活動領域」ばかりですね。プロミネンスは左にちょっと目立つものがありました。