ハリケーン「MATTHEW」は強いのに移動が遅い2016/10/04

ハリケーン「MATTHEW」の位置・気圧・風速などの速報データ履歴は10月2日の記事内に蓄積してありますので、そちらをご覧ください。(※全データではなく、勢力が強かった期間のみです。) 10月7日記事10月9日記事もどうぞ。

20161004-1145JST-ハリケーンMatthew
カリブ海で猛威を振るっているハリケーン「MATTHEW」は、今日12:00JST現在まだジャマイカやドミニカの近海に留まっています。相変わらず強い勢力のままです。

左はNOAA-GOES衛星による12:00JST少し前の赤外画像(擬似カラー)。中央左寄りの真っ赤なあたりがハリケーン中心です。何日も前からこのハリケーンには東側にまるで別のハリケーンがくっついているかのような別の雨雲エリアが寄り添っていました。今日もまだ大きな塊が見えていますね。

20161004-1200JST-ハリケーン進路予報
右はNational Hurricane Center(NHC)による9:00JST時点の予想進路や警戒域の図。数日前に見た様子とあまり変わってない印象に驚きました。このハリケーンはそんなに移動が遅いのだろうか…そう思ったので、発生からここまでの中心位置データから速度を計算してみました。比較のために台風18号でもやってみました(左下図)。

ここでは気象情報として発表された速度ではなく、緯度経度から測地距離(地球面に添った距離)を直接計算し、時速に直しています。またハリケーンの情報は6時間ごとしか入手できないので、気象庁の台風に合わせるため3時間ごとに補完しました。速度は移動方向に関係なく求めています。縦軸は時速、横軸はデータ初期値からの経過時間(本日昼前まで)です。移動は台風位置によって左右されると思われ、本来はそれも合わせて調べるべきですが、今回は単純な時間推移としました。

速度比較
グラフを見ると一目瞭然。速報値のため上下差はある程度均して考えないといけませんが、概ね平均的な台風として移動している18号に比べ、ハリケーンMATTHEWは半分以下ほどの速度ですね。止まりそうなときもあるほどの、いわゆる「自転車並み」でしょうか。

ということは被害がいつまでも続いてしまうと言うことですね。12:00JST時点の中心気圧は昨日より下がり、風速も強いまま。現地の方々の無事を祈ります。

台風18号に続き、熱帯低気圧がふたつ2016/10/05


20161005-0900気象衛星画像
台風18号は今日5日になった頃から東寄りへ進路を変え始めました。その時点では「非常に強い台風」クラスでしたが、3時には「強い台風」クラスとなり、今日中には普通の台風クラスまで勢力を落とす見込みです。

いっぽう前後して、24時間程度で台風になる恐れがある熱帯低気圧の発表もありました。昨日15:00には日付変更線近くに熱帯低気圧が、今日6:00にはフィリピン近くに別の熱帯低気圧が、それぞれ生まれました。

20161005-0900気象衛星画像
左は本日9:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。赤点円は台風/熱帯低気圧中心の直径1000km円。熱帯低気圧はどちらも北緯20°付近です。台風18号とフィリピン近くの熱帯低気圧を含む拡大画像が右画像です。対馬の近海を移動中の台風18号は既に渦構造を失いつつあるようです。熱帯低気圧のほうは小柄ながらも、もう台風じゃないかと思えるほどの風格を感じます。ほぼ真西に移動しているようで、明日6日に台湾とルソン島の間(ルソン海峡)を通過する見込みとのこと。

日付変更線近くの熱帯低気圧が今後台風になった場合、日本に近づく恐れがありそうですね。いやはや、今年は本当に続くなあ…。

台風18号は消滅、でも19号が発生2016/10/06


20161006-0900気象衛星画像
台風18号は5日21時に能登半島の北側で温帯低気圧へ変わりました。台風としての寿命は7日18時間でした。結局上陸はしませんでしたが、4日から今日朝まで各地に風雨の被害をもたらしましたね。いっぽう、昨日の記事で取り上げた熱帯低気圧のうち台湾に近いほうが、今日3:00に台風19号(AERE/アイレー)になりました。直前の台風18号の発生から8日0時間後、18号の消滅からは僅か6時間後となります。

左は本日9:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。赤点円は台風/熱帯低気圧中心の直径1000km円。左の円が台風19号で、右はまだ熱帯低気圧のままです。こちらは24時間以上経ちましたが、台風になるまであと半日程度かかりそうな予報です。

気象衛星画像で日本近くを見てみましょう(右下画像)。東側には台風18号の成れの果てである低気圧の分厚い雲が見えます。中心付近にまだ弱い渦が見えていますね。午前中いっぱい、東日本ではこの低気圧に向かって強い風が吹きそうです。

20161006-0900気象衛星画像
強い風のためか、北海道や東北付近に波頭のような雲の列が見えます。山を越えた後の空気が作る波状の雲で、「山岳波」と言うそうです。私たちが見かける「波状雲」の、もっと大規模なものでしょうか。雲は風向きと垂直の方向に伸びています。ひとつの波が街を覆ってしまうくらいの大きさですが、みなさんの頭上に見えているかも知れませんよ。ぜひ空を見上げてみてください。

今日の太陽2016/10/06

20161006太陽
昨夜は台風18号から変わった低気圧の影響で強い風でした。ただ雨は降らず、日付が今日になった頃から少しずつ星が見え、明け方前には冬の天の川が頭上に感じられるほど快晴となりました。もう明け方にはオリオンが南中する季節です。

20161006太陽リム
左は9:50頃の太陽。朝のうち湧いていた雲も低空に引いて、良い空でした。中央に寄ってきた活動領域12598と左下リム近くの12599がよく見えています。右下リムの少し大きなプロミネンスが見事。

昨日この時間にも太陽を観察しようとしていましたが、ベタッとした薄雲に覆われていました。内暈が綺麗に見えていましたが(下左画像)、このあと急速に崩れて昼過ぎには小雨が降ってしまいました。今日は同じ時間に気持ちよい青空(下右画像)。低空に見えた絹雲に内暈が映りそうな気がしましたが全く見えません。同じ絹雲でも水滴主体のものと氷粒主体のもので差があるようです。(下右画像に写っている円形の模様や着色はレンズによるゴーストです。下画像は両方とも同じカメラ、ほぼ同じ画角です。)

  • 20161006内暈

    10月5日10時頃
  • 20161006午前の空

    10月6日10時頃