ラニーニャが始まったみたい2016/09/09

本日、気象庁から「ラニーニャ現象が発生しているとみられる」と発表がありました。ご存じの方も多いでしょうが、太平洋のなかでペルー沖・赤道直下の海域(NINO.3)において、平均よりも暖かい時期が長期間続くことを「エルニーニョ」、逆に冷たい時期が続くと「ラニーニャ」と呼ばれます。この現象は地球各地の気象傾向を推し量るのに役立つと言われます。もちろん海水温が全てを決定するわけではないでしょうが、大きな要素であることは明らか。

20160909ラニーニャ
他の海域、例えば西太平洋熱帯域(NINO.WEST)やインド洋熱帯域(IOBW)も同調して変化する傾向があるそうです。海水の温度変化を探ることは、私たちの人生を左右する気候を探るのにとても大切なことなんですね。

6月16日の記事で、関東の水不足に絡めてラニーニャ現象を取り上げました。その時はまだNINO.3の海水温が基準より高い状態でしたが、3ヶ月経ってマイナス値となりました。今日の発表では「基準値との差は-0.6℃」だそうです。(先月も同値でした。)左はNINO.3について、月ごとの観測海水温と基準値との差を1950年1月から本日発表された今年8月分までグラフ化したもの。水色線は温度差そのもの、また赤線は5ヶ月移動平均値です。この赤線が0.5度(図中のオレンジ色点線)以上になり、かつその期間が6ヶ月以上続いた時を「エルニーニョ現象が起こった状態」、同様に赤線が-0.5度(図中の青色点線)以下で6ヶ月以上続いたら「ラニーニャ現象が起こった状態」です。今日の発表時点ではまだ赤線が青点線に届いていませんし、今後6ヶ月続くかどうかも分かりませんが、高い確率で起こるだろうと踏んで今日の発表に至ったのだと思われます。(※もし6ヶ月も続かなければ撤回されることもあり得ますね。)

右はNOAA View Global Data Evplorerのサイトで公開されている海水温マップ(基準値との差分)です。上半分はエルニーニョのピーク期だった2015年11月2日から8日までの1週間差分平均値、下半分は今日の時点で最新の2016年8月29日から9月4日までの1週間差分平均値、それぞれを引用しました(※大西洋は割愛)。

海水温マップ(基準値差分)
白色の海域は平年並み、赤に近いほど高く(+5度)、青に近いほど低い(-5度)状態を表します。海水温そのものではありませんから勘違いしないようにしましょう。

2015年のほうの赤道付近を見ると、太平洋中央から東へ向かって真っ赤な海域がありますね。ここがまさにエルニーニョ監視海域。下地図の同じエリアを見ると確かに下がっており、唐草模様やケルビン・ヘルムホルツ波に例えられそうな海水温低下域が確認できます。こうした海水温の変化が長期に渡ると、こっちでは台風が増えるとか、あっちでは夏の暑い日が続くといった傾向が出てきます。日本での特徴は気象庁の関連ページをご覧になってください。

海水温がたった1度変化しただけでも世界中の気候に影響が及びます。人間の文明が世界の気温を上げてしまってるそうですが、もしそれが本当なら、人の業の罪深さをどう償ってゆくのか悩みますね。誤魔化そうとしても、どこにも逃げられませんから。

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