天気が下る前に土星や火星を観察2016/06/04

20160603火星
昨夜から今朝にかけて、お天気はゆっくり下り坂。昨夕のうちは晴れていたものの、夜半過ぎには薄雲に覆われてしまいました。でも火星と土星だけは3日22時台に何とか撮影できました。電源トラブルに見舞われゴタゴタしましたが、ご覧のような仕上がりです。

気流は前夜の観察よりは安定していましたが、やはり大きな揺らぎが消えません。また、ちょうど南天の惑星をかすめるように飛行機の経路があり、しかも22時台まではひっきりなしに通ります。その度に像が撹乱されてしまうのでした。

火星は接近を過ぎましたがまだしばらくは大きいままです。梅雨が明けようとする7月半ばには宵空の南西で視直径が15"を下回り、東側が欠けて見えるようになるでしょう。

20160603土星
夏が終わり、9月下旬には最接近時の半分サイズ。そしてなんと、来年の今ごろまで延々と夕空に居座ります。ちょうどかけっこで地球くんに追い越された火星くん、少しずつ遅れながらも粘り強く食らいついてるような状況なんです。

土星はちょうど衝になったばかりですから、写さないわけにいきませんね。(土星の衝については昨日の記事をどうぞ。)三色分解での撮影中、特に青色側で環が明るく感じました。衝効果が出ているのかも知れません。ただ、毎日同じ撮影法で安定して撮れれば比較のしようもあるけれど、単発撮影では分かりませんでした。

週末は雨模様のようです。その前に一通り観察できて良かった良かった…。

参考:
2016年火星の地球接近・アンタレス接近に関する記事(ブログ内)

梅雨入り前に暈や水平虹2016/06/04

20160604内暈
朝のうち晴れていましたが、次第に絹のような雲が現れ始めました。明日にかけてお天気下り坂です。本日は九州・四国・中国地方がまとめて梅雨入りしました。明日は関東くらいまで入っちゃう?(夕方追記:午後には近畿・東海地方まで梅雨入り宣言がありました。)

さて、昼頃から7m/s越えの強風が吹き荒れ雲も出ているので、太陽観察は早々に諦めました。でもこんな天気の変わり目はやっぱり気象光学現象に期待がかかります。昼前には左のような美しい内暈が見えました。他のアークも見えそうだったけれど、何も出ませんでした。

13時近くなってもう一度観察してみたら、午前にはちっとも姿を見せなかった環水平アークが出いてました。下左画像は内暈下部と一緒に撮影したもの、また下中画像は地上風景と一緒に撮影したものです。位置関係が分かるでしょうか。撮影時の太陽高度は約69°。従って内暈の最下部高度は22°を引いて約47°、最上部は約91°と天頂越してます。いっぽう環水平アーク高度は約23°。この時期は結構高いので目にとまりやすいですね。

下右画像は環水平アークの拡大です。はっきり見えたわけではなく、ほどほどの鮮やかさでした。不思議なことに途中から右側がすっぱり無くなってしまったように見えました。雲の具合でこんな事が起こるのですね。いつも「理想的」な色と形で出現する訳ではないところが、ハロやアークの面白いところです。

  • 20160604内暈と環水平アーク
  • 環水平アーク
  • 20160604環水平アーク

参考:
ユーティリティ:太陽高度とアークの時刻表
※ご自分の県で何時頃に環天頂アークや環水平アークが見える可能性があるか分かります。

関東が梅雨入りしました2016/06/05

20160605午後の西空
本日、関東甲信地方が梅雨入りしました。当地茨城県南では昨夜少しぱらついたものの雨の中心は通らず、今日午後には晴れ間も出ました(左画像)。

今日は二十四節気のひとつ、芒種でもあります。穀物の種まきの目安とされますが、現代ではもっと早くに作業をしてしまいますね。今年は水不足が心配されているようです。気になったので関東のダム状況を調べてみました(右下表)。

【ダムの状況・2016年6月5日調べ】
ダム数貯水量(現状)
(万立方m)
貯水率
(%)
平均値に
対する割合
(%)
利根川水系18265565866
利根川水系2
(鬼怒川流域)
4137985588
荒川水系4968667104
多摩川水系11626388114
相模川水系32190282101

※全て本日公開されていた6月3日0時時点の速報値です。また多摩川水系のみ6月3日7時現在の速報値です。
いわゆる貯水率は全20のダム平均が約70%。これだけ見るとかなり少ない印象ですが、平成4年から27年までの平均値を100%とすると現在94.6%で、この時期の平均状態より少し低い程度ですね。 ただ、この均してしまった値はあまり意味を持ちません。ダム同士、水の貸し借りができないからです。特に利根川水系は平均値の66%と低調ですから、すでに節水が必要なレベルになりつつあります。

さて、せっかく晴れ間が出たので、15時前の雲が薄くなった時をねらって太陽を観察しました(下画像)。今日も変わらず無黒点で、活動領域やプロミネンスが乏しいです。おや困った、これでは話が終わってしまうしまう(笑)…

20160605太陽
というわけで少し話題を進めると、今日正午頃にこの太陽の南5°ほどのところを月が通り過ぎました。つまり新月を迎えたわけです。明日からは夕方低空に細い月が見え出すでしょう。芒種の日に新月と言うことは、約半月後にやってくる次の二十四節気「夏至」のころに満月となる計算です。


20160605太陽リム
2014年の冬至には新月が重なって「朔旦冬至」という言葉があちこちで聞かれました。これに端を発し、夏至に満月が重なる「望月夏至」なるチャンスがどれほどなのか2015年の夏至のとき記事にしました。記事中の表をご覧頂くと分かりますが、今年は夏至と満月との時間差が12時間も無い、まさに「望月夏至」の年なのです。万が一梅雨のさなかに晴れ間があったら、お月見をしたいですね。ホタルも飛び交う季節なので、さぞステキでしょう。(満月夜にホタルが飛ぶかどうかは疑問ですが…)

20160604_1800UT_SOHO太陽
月が太陽近くだったと言えば、5月27日の記事に書いたとおり、金星も太陽の近くですよ。右は本日3:00JST(前日18:00UT)に撮影された太陽観測衛星SOHOの画像です(画像元ESA/NASA)。中央の遮蔽の向こうに太陽がいるのですが、金星は遮蔽マスクの縁ギリギリにいました。

今日の正午現在の位置を計算すると、なんと太陽の端までわずか13分角。1°の4分の1(=15分角)もなかったのでした。実際は奥行きがあるので、あくまで見た目のお話しなんですけどね。明日6日朝8時頃には太陽に隠され、明後日7日の内合を迎えます。その後は「宵の明星」の時期に入るのですが、実際の宵空に姿を見せるのは早くても8月の終わりと思われます。梅雨の時期を迎えても、天上では星々が様々な巡り合わせをしているんですね。

曇る前に見えた火星と土星2016/06/05

20160605火星
梅雨に入った関東ですが、明日からしばらくは曇りがちな日が続く予報。今夜もいつ曇られるか分かりませんでしたが、若干雲があるものの宵から晴れが続いているので、22時前後に火星と土星を観察しました。

気流はいつものように思わしくなかったですが、それでもごく希に落ち着く瞬間がありました。微風が吹いて撮影向きではなかったのですが、取りあえず写真も撮りました。火星は大シルチスがすっかり東寄りとなり、中央上には若干明るいエリシウム付近が分かります。南北に青白いモヤが見えますが、南極冠・北極冠そのものではなく辺りを覆う雲のようです。

20160605土星
土星は撮影時に火星より低く、大気の揺らぎをもろに受けました。R→G→Bと撮影していくに従って像が悪くなり、合成に苦労しました。観望の好機なのに気流が落ち着く日がないのは残念ですね。晴れただけでもありがたいけれど。

このあと1時間もしたら空全体が流れる雲に覆われてしまいました。次に見ることができるのはいつになるでしょうか。

参考:
2016年火星の地球接近・アンタレス接近に関する記事(ブログ内)