木星と衛星が恒星を隠します2016/04/07

20160412木星の恒星掩蔽
一週間ほど後の4月12日と13日に、それぞれ木星やその衛星が恒星を隠す「掩蔽現象」があります。慣例的に「恒星食」と表現をすることもあるけれど、正しくは「食」ではなく「掩蔽」です。いささかマニア向け現象のせいか、はたまたそれなりに機材が必要なせいか、詳しい情報があまりありません。そこで、精度に定評がある「GUIDE」というソフトでシミュレートしてみました。(※現時点でのGUIDEの最新バージョンは9.1のようですので、それを使いました。)なお今回のシミュレート星図は全て茨城県つくば市が基点ですが、現象は全国的におおよそ同時刻のようです。

対象となる恒星はHIP54057(約7.3等星)というしし座の恒星です。12日23:32頃に木星に隠され、日付が変わって13日2:35頃に木星から現れます。更に13時間ほど経った13日20:56頃に、なんと同じ恒星が木星の衛星ガニメデに隠され、数分後にまた現れるのです。木星からの出現時をのぞき、高度が高い状態で観察できる良好な条件でしょう。

左は一連の現象の流れを7シーン取りだしてシミュレートしたもの。木星の自転軸を縦方向にしています。恒星は緑矢印で示しました。また記事下には木星、およびガニメデそれぞれの潜入・出現付近の時刻をシミュレートした拡大図を載せました。この4シーンは上方向が天の北方向です。木星に恒星が3時間ほど隠される間に、模様がかなり入れ替わりますね。こういう時間経過も併せて楽しめるでしょう。

木星は-2.4等、ガニメデも5.4等で、隠す恒星よりも明るいですから「恒星がパッと消えた」ようには見えません。小型望遠鏡では「重なってしまった」とか「二星が分離できなくなった」というような見え方だと思われます。当日の大気の揺れにも寄りますが、恒星が見えるギリギリまで倍率を上げて観察してみてください。(※肉眼や小型双眼鏡では分離して見えません。)

2015年10月19日に火星がしし座χ星(4.6等星)を掩蔽する現象がありました。(※しし座χ星は今回の恒星HIP54057から約25分角しか離れていません。)惑星が恒星を隠すことは滅多にありませんから、晴れたらぜひ望遠鏡を向けてみてくださいね。

  • 20160412木星の恒星掩蔽(潜入)
  • 20160413木星の恒星掩蔽(出現)
  • 20160413ガニメデの恒星掩蔽(潜入)
  • 20160413ガニメデの恒星掩蔽(出現)

【観察の留意点】
  • 現象の時刻はあくまで目安と捉えて観察しましょう。気象条件やお使いの機材によって、恒星や惑星の見え方は変わります。現象時刻のかなり前に「見えなくなった」ようなことが度々起きます。少なくとも現象の1時間前には確認しておくことをお勧めします。
  • 木星の四大衛星を恒星と見間違えないよう、位置を良く確認してください。恒星HIP54057は四大衛星のどれよりも少し暗いです。
  • 木星の模様は流動体なので、シミュレーション通りには見えません。これもあくまで目安とお考えください。