午後に花粉光環がクッキリ2016/03/15

20160315花粉光環
午後に用事で出かける際に空の様子を確かめたとたん、「うっ!」となりました。青空なのに太陽の周囲にクッキリした光環。そう、紛れもなくスギ花粉による光環です。午前中はあまり見えませんでしたが、このときは太陽を手で隠して裸眼でも見えたので、相当濃くなったようでした。しっかりしたカメラを用意する時間がなかったため、手持ちのコンデジで撮影(左画像)。15時を過ぎており、撮影時の太陽高度は28°00'でした。

用事を終えて、帰りがけにも観察してみました。右下画像は17時過ぎの撮影で、撮影時の太陽高度は7°57'です。夕日なので全体が赤味を帯びていますね。でも違いはそれだけではありません。よーく見比べてください。(知らないで発見できた方は素晴らしい観察眼です。)

20160315花粉光環
答えは、下の比較を見ると分かります。(a)は光環の中心と思われる点から縦に分割して並べたもの、(b)は同じく横分割で並べたもの。もともとスギ花粉光環は楕円に見えることが知られていますが、この楕円の「つぶれ具合」は太陽高度によって変わるというのです。比較画像の縞模様を見ると横方向はほとんど同じに見えますが、縦方向は太陽が低いほうが明らかに伸びていますね。

これはスギ花粉の非対称性によるものです。回転することで姿勢安定を維持するスギ花粉は、ちょうどお饅頭のような輪郭の回転体を作るようです。下から見るほど正円に近く、横から見るほど縦がつぶれて見えますね。微粒子の輪郭に影響される光環は、横長の輪郭ほど縦長の光環になる、すなわち夕方ほど縦に伸びるという理屈と思われます。

ただし必ずそうなるかどうかは分かりません。気象条件によっては安定した姿勢を維持できないようなこともあり得るでしょう。統計的な調査をした例は見たことがないので、興味がある方はぜひやってみてください。今回はコンデジのズームを使った簡便な比較でしたが、できれば像サイズの同一性を保証できる単焦点望遠レンズ+空の色に左右されないバンドパスフィルターを使って特定色のみを撮影すると良いかも知れません。比較のための撮影はカメラの水平垂直にも気を配ってくださいね。

下右(c)画像は日没直前の空。まだ光環が分かりますね。光環のおかげで太陽が数倍大きく感じます。光環は太陽直近の狭い範囲で起こっていますので、観察の際はくれぐれも太陽を直視しないようにしてくださいね。

  • 20160315花粉光環の比較

    (a)
  • 20160315花粉光環の比較

    (b)
  • 20160315花粉光環

    (c)

コメント

トラックバック