大きな台風23号が接近中2015/10/05

20151005-0900台風23号
5日9時の衛星画像。赤円は台風23号中心の直径1000km円。
(画像元:NICTサイエンスクラウド)
10月頭の爆弾低気圧に翻弄されている間に、台風が二つも発生してました。台風22号と23号です。それぞれ10月2日3時と15時が発生日時で、ハワイ近くにあるTropical Storm 07C(Oho)とあわせると今朝までトリプル台風状態でした。台風22号は今朝9時に熱帯低気圧に変わりましたが、23号は現在も発達中。8日前後に日本の東に到達予定です。

当ブログで時々出す左のような衛星画像では、大きさ確認のため台風中心の直径1000km円を描くことがあります。先日ネットニュースで「台風23号は発生時から800海里(約1480km)もあって大きい」との記事を読みました。8割ほどの台風は寿命全体で見ても1000km円に雲の渦がだいたい収まりますが、本日9時の左上画像を見ても完全にはみ出していますね。1480kmってピンと来ませんが、東京駅に中心を描くと広島や函館より少し遠くまで円内にすっぽり収まる大きさです。東京−沖縄の距離くらいですかね。

【気象庁での台風の大きさの表現】
表現強風域の
半径下限(以上)
強風域の
半径上限(未満)
(無し)-500km
大型
(大きい)
500km800km
超大型
(非常に大きい)
800km-
※強風域:風速15m/s以上のエリア。
※台風の大きさはあくまで円に例えたもの。自然界の揺らぎを考えたら「円の外は風が弱い、被害が出ない」とは考えない方が良いですね。クラス分けの詳細はこちら
なお天気予報でお馴染みの台風の強風域は円形ですが、必ずしも台風中心が円の中心ではありません。この左上画像の円はあくまで大きさ把握のため台風中心に描いてますから、強風域そのものとは異なります。

台風発生時の強風域直径がどれほどか、1995年から2014年まで20年間の全台風468個について気象庁ベストトラックデータを調べ、上位10個を下表に示しました。併せて、各台風の最大「強風域」直径ランキング、および最大「暴風域」直径ランキング、そして年ごとにどれくらいの大きさが幾つ発生しているかまとめた表も載せます。台風23号発生時の強風域直径は2位タイ記録ということで、本当に大きいことが分かりますね。


【強風域(発生時)の直径ランキング】
順位台風番号台風発生時の
強風域直径
12007年 14号900nm (1670km)
22001年 04号800nm (1480km)
31997年 12号600nm (1110km)
41999年 10号560nm (1040km)
52002年 22号550nm (1020km)
62011年 12号540nm (1000km)
71999年 05号530nm (980km)
82002年 14号520nm (960km)
92013年 04号505nm (940km)
102014年 12号505nm (940km)
※1995年から2014年までの比較です。

【強風域(最大時)の直径ランキング】
順位台風番号寿命中で最大の
強風域直径
11997年 13号1275nm (2360km)
21997年 25号1200nm (2220km)
31995年 12号1150nm (2130km)
41996年 09号1100nm (2040km)
52001年 04号1050nm (1940km)
62001年 11号1025nm (1900km)
71996年 24号1000nm (1850km)
82011年 06号1000nm (1850km)
91998年 05号950nm (1760km)
101998年 10号950nm (1760km)
※1995年から2014年までの比較です。

【暴風域(最大時)の直径ランキング】
順位台風番号寿命中で最大の
暴風域直径
11997年 13号450nm (830km)
21998年 10号420nm (780km)
31996年 24号400nm (740km)
42013年 26号390nm (720km)
51996年 09号360nm (670km)
61997年 19号360nm (670km)
71997年 24号360nm (670km)
81997年 23号360nm (670km)
91997年 25号360nm (670km)
102002年 13号360nm (670km)
112002年 22号360nm (670km)
※1995年から2014年までの比較です。
※タイ記録が重なってるので11位まで掲載。

【各年における強風域直径(発生時)ごとの台風個数】
100nm未満
(190km)
200nm未満
(370km)
300nm未満
(560km)
400nm未満
(740km)
500nm未満
(930km)
600nm未満
(1110km)
700nm未満
(1300km)
700nm以上
(1300km)
1995年017420000
1996年014921000
1997年26892010
1998年73411000
1999年53732200
2000年29813000
2001年314530001
2002年013740200
2003年014510100
2004年412931000
2005年010661000
2006年110831000
2007年012911001
2008年012910000
2009年010840000
2010年26510000
2011年07751100
2012年031084000
2013年171543100
2014年061141100
合計271881546622812

【各年における強風域直径(最大時)ごとの台風個数】
100nm未満
(190km)
200nm未満
(370km)
300nm未満
(560km)
400nm未満
(740km)
500nm未満
(930km)
600nm未満
(1110km)
700nm未満
(1300km)
700nm以上
(1300km)
1995年02718302
1996年03136616
1997年022160413
1998年11223403
1999年13523431
2000年00582224
2001年02637422
2002年03243815
2003年01515621
2004年14335841
2005年00386411
2006年03474320
2007年01947111
2008年03673300
2009年01773211
2010年03451010
2011年03344241
2012年00349441
2013年11787421
2014年01733252
合計437918595704046

単位について:
気象庁が発表しているベストトラックデータは距離の単位が海里(NMまたはnmまたはNm…nautical mile、SI単位系のナノメートルと混同しないこと)です。緯度1'の長さ(1°の60分の1=約1.852km)に相当します。また1ノット(KTまたはktまたはkn…knot)は1時間に1海里進む速さです。上表中の海里・km換算は1の位を四捨五入しています。なお気象庁からの発表ではこちらの換算表に従って計算されるそうです。

参考:
2015年・台風関連の記事(ブログ内)

北極星に大接近したパンスターズ彗星2015/10/06

20151006パンスターズ彗星(C/2014S2)
いよいよパンスターズ彗星(C/2014S2)が北極星に大接近する日です。正確には今日6日昼前頃が一番近いのですが、昼間は星が見えません。見える時間帯では6日明け方がベストです。

ところが昨日からずっと曇り続きで、夜半を迎えてもほとんど星が見えません。辛抱強く待ったところ1時を過ぎた頃から晴れ間が出るようになり、断片的ながら晴れと曇りが交互に明け方まで続きました。

20151006月


パンスターズ彗星(C/2014S2)星図
左画像は2:30頃のパンスターズ彗星。左下の明るい星が北極星で、二番目に明るい星は「ポラリスハート」を構成する星のひとつ。画像の向きが通常と異なり、左方向が天の北です。昇っていた月を同じ機材で撮りました(右)ので画角が把握できるでしょう。撮影時の北極星と彗星の離角は27'で、月の視直径より小さいですね。無事見ることができて良かった…。


今後この彗星は北極星から遠ざかります。壊れたりバーストしたりしなければ、今と変わらない光度のまま来年正月過ぎくらいまで北の空をゆっくり移動します。4日の記事にも載せた星図を再度掲載しておきますのでご利用ください。

20151006パンスターズ彗星(C/2013X1)
雲間が開いたタイミングで、もうひとつのパンスターズ彗星(C/2013X1)も撮ってみました。こちらも順調に光っています。年末くらいまでにもう一方のパンスターズ彗星(C/2014S2)より明るくなる計算で、来年の夏前には7、8等まで明るくなる見込みです。当面の楽しみのひとつですね。

ひと通り撮り終わる頃に西から雲が広がり、全天を覆いました。次に雲が引いたときは既に薄明が始まっていました。

今日の太陽2015/10/06

20151006太陽
夜明けから良く晴れました。早朝の冷え込みがあり、だんだん秋が深まっている感じです。

左は10:45頃の太陽。極めて静穏な状態ですね。

20151006太陽リム
西側に見える活動領域12427も数日でリムに消えてしまいます。そのあとはどうなるんでしょうか…。

夕方にもパンスターズ彗星2015/10/06

20151006夕方のパンスターズ彗星(C/2014S2)
明け方にパンスターズ彗星(C/2014S2)を撮ったので夕方は撮る予定がなかったのですが、さわやかに晴れ渡っていたため、つい望遠鏡を向けてしまいました。左は19:30頃のパンスターズ彗星。左の輝星は北極星です。17時間前に撮ったものと比べ、彗星と北極星の離角はほぼ同じ27'でした。ただし画像の向きが異なり、上やや左に天の北があります。下辺に半分だけ写っている輝星が17時間前の画像の「二番目に明るい星」。彗星は確かに動いているのが分かります。

宵の口は光害がひどく、今夜は微光星すら見えません。でも明日朝はこのカメラだと端と端になってしまうので、撮って良かったと思いました。