薄雲越しの惑星たちとハロウィン小惑星検出2015/10/27

20151027明け方の惑星
昨夕から湧き出した雲は夜の訪れと共に全天を覆いました。ときおり月が顔を出すものの、星を見ようという気も起こらないような空でした。

その後、少し晴れ間が多くなったのは明け方の薄明が始まる少し前、4時頃でした。今日27日の夜は満月となるので、今朝方は薄明が始まったあとに月没です。つまり朝まで月明かりの影響が残ります。惑星たちが撮れるかなと待ち構えましたが、昨日26日のような透明感はありません。月明かりと薄雲に邪魔され、すっきりしない画像となりました。それでも寄り添う金星、木星、火星は美しいものです。まだ当分楽しめそうですね。

20151027_小惑星2015TB145
平行して、10月24日の記事で紹介した、ハロウィンに近づくと話題の小惑星「2015 TB145」の検出も試みました。飛来する雲と月明かりがあって長い露出ができないため、短い露出でたくさん撮って組み立てるメトカーフ・コンポジットという方法で右画像を仕上げました。

矢印の先に点状に写っているのが小惑星「2015 TB145」です。30分間の小惑星の動きを止めるように合成したため、周囲の恒星が線状に写っています。(動いている被写体を流し撮りするような撮り方です。)現在の推定光度は16等前半。予定通りの位置です。ハロウィン当日のお天気は怪しいので撮影できて良かったです。(※25日の画像にも写っていたことが分かりました。

参考:
2015年10月-11月明け方の惑星接近に関係する記事
2015年5月-7月の金星と木星接近に関係する記事
アーカイブ:多天体の接近現象(3天体以上の会合の日付)
アーカイブ:天体の接近現象(2天体会合の日時・離角)

今日の太陽2015/10/27

20151027太陽
朝から良く晴れていますが、太陽観察に影響が無い程度の雲が少しずつ出始めました。あちこちに小さな彩雲が見えて、とても綺麗です。昼前からコンスタントに8m/s前後の風が吹き、かなり望遠鏡が振動しました。

左は正午の太陽。活動領域12436はだいぶ西に寄りましたが、相変わらず良い表情です。南側のダークフィラメント達も健在。

20151027太陽リム
プロミネンスは比較的穏やかだなぁ…とさらりと済まそうとしたら、右下、5時の方向に淡いけれど巨大な吹き出しがあるのを発見!思わず声を上げてしまいました。いつからだろう?そう思ってGONGのアーカイブを遡ると、昨日の世界時14:30(日本時間で昨夜23:30)ごろから吹き出し始まっているのが確認できました。半日以上かけてこの高さ。太陽はダイナミックで侮れませんね。

気象衛星から奇跡の「地球と月ツーショット」2015/10/27


20150929-1150a
まず左画像をご覧ください。気象衛星ひまわり8号が捕らえた2015年9月29日11:50の可視カラー画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)です。何か気付きましたか?台風21号…?いえいえ、もっと外側です。

そう、左上のほうに「月」が写っています。ちょうど1日前に今年最大と騒がれた月が、たまたまひまわり8号の写野内に入ったのです。NICTサイエンスクラウドの「おしらせ」でこのショットを知ったときは、目から鱗でした。気象衛星を扱う方々には当たり前なのかも知れませんが、そうか、気象衛星でも月が写ることがあるのですね!ひまわり8号は昼夜問わず地球全体の画像を10分おき、日本付近を2.5分おきに撮影します。以前の気象衛星よりもインターバルが短くなったおかげで「気象衛星による地球と月のツーショット」が起こりやすくなったのです。

夜間の撮影では春と秋に太陽が写り込む時期があることを9月6日のブログ記事で紹介しました。考えてみれば太陽も月も同様なのですが、月の場合は地球を回る公転運動が加わり、また公転面が気象衛星のいる赤道面と一致せず、さらに気象衛星との距離も無視できない近さにあります。このため、どういうタイミングで地球とツーショットになるのか簡単には推し量れません。でもひまわりから見ればほぼ一日に一回、月が地球近くを左から右へ移動して見えるはずです。

20150929-1150b
右画像は最初の画像の月付近を拡大したもの。(原画はさらに解像度が高く美しいです。)何も言われなければ国際宇宙ステーションからの映像と勘違いしそうですが、よくみると地球までの距離感が違います。気象衛星のおよそ100分の1という低高度を回るISSからは、もっと雲が近い印象です。それにしてもすばらしい!このままカレンダーになりますね(笑)

上画像のような素晴らしい光景が過去に撮られてないのか、将来はどうなのか、満月以外はないのだろうか…などと気になりました。そこでガッツリと軌道計算プログラムを組み(といっても概算ですが)、10分おきの撮影のタイミングで月が地球近くに来る日時を算出、それを元にNICTサイエンスクラウドの画像アーカイブを総当たりで調べてみました。…そうしたら、あったあった!結構写っていました。

20150830-1110
調べて分かったのは、「やはり地球の気象衛星だった」ということ。つまり、基本的には宇宙部分は要らないので捨てられる運命なのです。左は8月30日11:10の画像ですが、月が崩壊してパックマン状態ですね。地球撮影はみなさんお使いのカメラみたいに「カシャッ!」と済むものではないようです。全体をスキャンするのに時間がかかるわけですね。たまたまスキャンで上下にまたがってしまうと、このように公転でズレてしまいます。また太陽対策からか、地球より少しでも遠いとマスク処理で切り捨てられています。計算した全てのタイミングで月が写っているわけではなく、むしろ月が残っていたらラッキーと思うべきものでした。でもいろいろな月齢で地球と月のツーショットが揃うなら、理科の教育的に素晴らしい素材だと強く感じます。

調べた範囲では月齢10から20くらいの間で15シーン見つけました。それより細い月は暗くて目にとまらないか、写らないか、あるいはタイミングが悪いのか、皆無です。7月7日の運用開始以来、月が千切れずに綺麗に残っていたのは片手で数えるほどしかありません。(あくまでNICTのサイトで見える範囲の話しです。また気象庁サイトでは確認できません。)でもひまわり8号は長期に渡って運用されるでしょうから、今後に期待ですね。下にベストショットを三枚載せておきます。特に真ん中と右の2枚は地球に隠れる前と後のペアとなっていますよ。それから今日27日は満月ですが、今日の10:40および11:20撮影の画像に写っている可能性があるとの計算結果がでました。果たして実際は?結果はみなさんご自身でお確かめくださいね。(NICTサイエンスクラウドのひまわり画像閲覧はここをクリックしたサイトの左上「リアルタイム画像」メニューから。)

  • 20150802-1330
    2015/8/2 13:30(月齢17.14)
  • 20150902-1420
    2015/9/2 14:20(月齢18.60)
  • 20150902-1500
    2015/9/2 15:00(月齢18.63)


今日の月(夜)2015/10/27

20151027_18000月
お天気は下り坂です。日中から夕方にかけて雲が多くなり、夜になるとせっかくの満月も時々しか見えない有様。夜半を越えた頃から明日朝にかけて雨が降る予報です。

左は今夜21時過ぎの月。なんという幸運でしょうか、ちょうど満月になった時間に2分間ほど月周囲だけ雲が途切れてくれました。太陽黄経差180.00°、撮影時の高度は49°弱です。今日の別記事に書いた「10:40に日本の裏側で地球とツーショット」した月が、半日ほど経って日本の夜空に巡ってきたのです。多角的に月を楽しめて面白いですね。

この満月は中央緯度がプラスに転じたため、8月31日の記事10月20日の記事に書いた月の南極側はほとんど見えません。代わりに北極側(画像上)が少し欠けているのが分かります。先日星仲間のdocanさんと「月の周囲をぐるっと、どれだけ“向こう側”が見えるかチャレンジしたら面白いね」という話をしました。何年かかけて、月面中央緯度経度がプラスマイナスで最大値の頃に挑戦してみたいですね。

参考:
アーカイブ:月の形(黄経差180度以上、216度未満)