今朝も惑星たちが美しい2015/10/24

20151024明け方の惑星
昨夜もずっと曇りでしたが、明け方天文薄明が始まる頃から急に雲が消えてくれました。左は4:10過ぎの惑星たち。薄らとした雲がかかっているようで、星が若干にじんでいます。

明後日26日の金星と木星の最接近に向け、両惑星は一段と近くなっていました。今日は180mm+APS-C画角の横構図で三惑星を入れてみましたが、なんとか入ってくれました(右画像)。

20151024明け方の惑星
これくらいの望遠レンズですとブログ画像では見えないような微光星も原画でキッチリ写ってくれて、宇宙という海原に浮かぶ感じが出てくれます。もう少し露出ができるともっと良いのですが、今は機材の制約があってこれが限界です。できる範囲で記録していこうと思います。

参考:
2015年10月-11月明け方の惑星接近に関係する記事(ブログ内)
アーカイブ:多天体の接近現象(3天体以上の会合の日付)
アーカイブ:天体の接近現象(2天体会合の日時・離角)

今日の太陽2015/10/24

20151024太陽
午前中から雲が湧き、また少し風が吹いています。雲間を縫って太陽観察をしました。

左は10:30過ぎの太陽。昨日も見えた左リムの立派なプロミネンスは今日も健在です。その他あちこちに面白いプロミネンスが見えますね。
20151024太陽リム
中央を過ぎた活動領域12436の黒点はだんだん西に向かっています。昨日、今日とフレアの報告はありませんが、少し前の何にも見えなかった時期よりよほど面白い太陽面です。

ハロウィン小惑星が接近中2015/10/24


このところ夜中に星を見ていると、近くでフクロウの鳴き声がします。以前には自宅アパートのベランダにとまっていたことがありました。知らずに近づいてしまったため驚いて逃げちゃいましたが、いやいや、ビックリしたのはこっちだよ(笑)

街中にあるアパートだから、少なくとも1、2km以内にフクロウが暮らせるような里山はありません。いったい街のどこがフクロウに魅力なのか、理解に苦しみます…。市内に何ヶ所かフクロウのすみかが知られているので、餌が減少してるのかなと心配になります。

閑話休題。最近やたら「ハロウィンに小惑星接近」というニュースを目にします。小惑星が地球に近づくのは日々起きているので特別なことではありません。今年1月26日にも話題になりましたね。今回はたまたまハロウィンだったことや、「相対速度が異常に速い」「近年で最大級なこと」などが興味を引いてるようです。もちろん地球にぶつかる心配はありませんし、もしぶつかると分かっても、あと1週間ではどうしようもない(笑)

この小惑星は「2015 TB145」と言います。今年10月10日に発見されたばかりで、特別な呼称はありません。(NASA研究者は“グレート・パンプキン”と愛称付けたそうなww)地球接近時を計算すると小型望遠鏡でも眼視で見ることができる10等程度になります。話題になってもどこに見えるか具体的な資料は少ないようなので、記事末尾にステラナビゲーターで作った星図を載せておきます。1週間後、ハロウィンの10月31日夜から翌11月1日朝にかけてがチャンス。朝以降は一気に20等台まで暗くなって、アマチュア望遠鏡では歯が立たなくなります。晴れ間を逃さず挑戦してくださいね。おもな特徴は以下の通りです。

  • 地球に最接近するのは1日2時頃で、距離は月までの距離(約38万km)の約1.3倍です。
  • 計算上最も明るいのは31日23:30頃で、10.0等星です。
  • 見かけの移動が最速なのは1日1:50頃で、毎分約889.37秒角(1時間換算で約14.8度)です。これは1月26日に接近した小惑星2004BL86の5.5倍の速さ!(注:あくまで見かけの速さです。)
  • 記事を書いてる現在(2015/10/24)はオリオン座の西側、エリダヌス座にいて、既に日本から見えます。まだ17等台ですが、29日頃には14等台になる予定です。
  • 追記:10/25明け方および10/27明け方に小惑星を撮影しました。←記事はそれぞれの日付をクリック。

移動が大きいので、31日18:00から1日6:00までを時間帯ごと4枚の星図に分けました。計算は当地茨城県基準ですが、小惑星はあまり近くないので見かけの地域差は少なく(後述)、全国的にこの星図が使えると思います。ただし一晩中見えると勘違いしませんように。まず31日は19時半-20時ころまでまだ空に昇っていません。それから満月過ぎの月夜で明るいこと。そして見える方向も限られます。

2015 TB145接近星図-方向と高度
右図も同じく茨城基点の計算ですが、方位を固定してどこに見えるか描かせたもの。(小惑星の出から1日6:00まで10分おき、白文字は小数点なし光度、方位高度線は10°間隔、右側の星は明け方昇る惑星たち。)北東から東北東の40°程度以下に収まります。これは地域差が少しありますが、とにかくこの方向に障害物があると観察できません。ちなみに我が家からは街灯付き電柱が鎮座してます…。なんてこった。

M97ふくろう星雲
M97:北斗七星近くの淡い惑星状星雲。二つの目を持つふくろうの顔に見えるかな?
一番明るくなる31日23時台が高度も十分で見ごろでしょう。ただ、メジャーな星座を抜けて目印の少ないエリア(月明かりで微光星が見えない!)ですから、天体導入に慣れない方は辛いかも。トレーニングと思ってがんばってください。できれば視界チェックも含めて、事前に練習すると良いでしょう。記事末尾の参考メモのように、限界等級も測っておくと、自分の機材でこういった天体が楽しめるかある程度の判断ができます。

写真を撮る方はM天体との接近が幾つもあります。ざっと見ると、M1、M35、M37、M97、M108、M109、M106、M51が5°以内にありますよ。特にM97(ふくろう星雲)やM109には満月の直径ほどまで近づくので、先にM天体を導入しておいて「出待ち」するのも手です。ふくろう星雲とハロウィン小惑星のツーショットなんて、まさにドンピシャじゃないですか。晴れると良いですね。

  • 2015 TB145接近星図-1
    10月31日18:00-23:00
  • 2015 TB145接近星図-2
    10月31日21:00-11月1日0:30
  • 2015 TB145接近星図-3
    11月1日0:00-2:30
  • 2015 TB145接近星図-4
    11月1日2:00-6:00

2015TB145_視差
※星図は10月30日昼時点の最新軌道要素に従って改正しました。24日に掲載したものと比べて、月の直径分くらいずれましたのでご注意ください。
※参考までに、一番接近している1日2:00時点で札幌と沖縄の視差(地域差による見かけ上の差分)は約8.7分角(右の星図参照)。月が視野(画角)の半分以下に収まるような機材なら上の星図で全く問題ないでしょう。


【 参考:限界等級を知ろう 】
自分の機材による眼視や撮影の限界等級を知っておくと何かと役に立ちます。色々な方法がありますが、M45(プレアデス星団・すばる)や北極星標準視野などを観察(または撮影)して、明るさの分かる恒星を調べると良いでしょう。いろいろな状況(夜中だけでなく、日暮れ直後、薄曇り、月明かりが強い日、都会の夜空など)で測っておきましょう。下にGuideによるプレアデス星団の星図と、実写画像を置いておきます。参考にどうぞ。なお高速移動天体の撮影では実際の等級よりひとまわり暗く写りますので、注意が必要です。(※星図中の数値で789とは7.89等星、1023とは10.23等星を表します。)

  • すばる星図
  • すばるで限界等級を知る


参考:
小惑星がまもなく地球に接近(2015/1/23)