今日の太陽と淡い内暈2015/09/04

20150904太陽
朝から雲が多い一日でしたが、昼前には薄日が差すようになりました。でもすっきり晴れる様子はありません。

左は13:40前の太陽。薄雲越しの撮影です。中央左下に太めのダークフィラメントが2本見えますが、概ね静穏ですね。
20150904太陽リム
東西それぞれのリムには、中途半端にループがかったプロミネンスが見えています。結構大きいですね。今後進展はあるでしょうか。天候不順で観察が途切れてしまうので、どうにも経過が分かりません。

20150904内暈
雲が多かった午前中には内暈が見え隠れしていました(右)。昨夜から全国的に天気が不安定で、各地をゲリラ豪雨が襲ったり、竜巻の目撃情報が相次いでいるようです。

そういえばこのところ竜巻がやたら続いていますね。1日には対馬と浜松、今日は淡路と東京。いずれも藤田スケールF0からF1程度と思いますが、十分気を付ける必要があります。当地近くのつくば市で3年前に発生した竜巻はF3クラスで、国内で観測された最も大きな規模でした。他人事ではありません。不安定な天気の時は空をよく注視してくださいね。

明け方に彗星同士が接近中2015/09/05

201509彗星会合
星図はステラナビゲーターを使用
明るい月や惑星ならともかく、暗くて淡い彗星や星雲、銀河のような天体は少なくとも2、3時間の連続した快晴夜でないと観察できません。この夏はほぼ全滅に近い状態でした。「淡い天体禁断症状」がハンパないです(笑)

それはともかく、そろそろマスター彗星(C/2015G2)が日本の空に帰ってきている頃だと思い、計算してみました。すると絶好の観察好機を迎えているではありませんか。現在明け方の東には火星や金星が見えていますが、すぐ近くにはプレセペ星団(M44)もあります。6月上旬に夕空で金星と並んで見えたかに座の散開星団ですね。マスター彗星はまさに星団を横切ろうとしているところでした。これはファインディングが楽でしょう。光度はもう14等くらいに落ちていますが、ガッツリ撮影すればまだまだ撮れる明るさです。

20060425_73P分裂核
また周囲には有名どころの周期彗星(太陽を何度も回る彗星)がふたつありました。一つは昨年から彗星探査機ロゼッタが接近し観測しているチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(67P)。もうひとつは分裂彗星のマックホルツ第2彗星(141P)。彗星は時々分裂して消滅することもあれば、逆にバーストして明るくなることもあります。(右は2006年に話題となったシュワスマン・ワハマン第3彗星73Pの分裂したB核とG核、2006年4月25日撮影。)今回も主核がバーストして明るくなったようなので注目です。どちらの周期彗星とも12等程度とのことです。

左上星図のように、プレセペ星団を囲んで三彗星が1ヶ月かけて会合しますから、チャンスを狙って見てくださいね。特に9月14日から16日は三ついっぺんに撮れるほど接近しますよ。とは言っても、晴れなければ何もできませんが…。これからの美しい秋空に期待です。夕方西空でもコプフ彗星(22P)とテンペル彗星(10P)がてんびん座近くで併走していますので、晴れている地方の方はお見逃しなく。

今日の太陽とまたまた淡い内暈2015/09/05

20150905太陽
昨夜は一時的に雲が薄くなり星が見えたものの、夜半に月が昇るころには雲が多くなりました。明け方には月のそばのアルデバランや夏以降で初めてのシリウスも確認できましたが、雲の多さはどうにもなりません。朝からも雲の多い状態でした。

20150905太陽リム
左は14:40頃の太陽。昨日よりも厚めの雲越しの撮影です。昨日は2本あった太めのダークフィラメントが1本になっていました。(→記事下に追記があります。)東西のリムに見えていたプロミネンスも消えて、新たに左やや下に見えていました。

20150905内暈
よく見ると雲にはとても淡い内暈が見えました。今日は上側だけです。昨日に比べると関東の天気の不安定さは解消していますが、また九州のほうから天気が荒れてきましたね。数日間は悪天予報です。

(追記)これについて、SpaceWeatherサイトの9月5日記事に「FILAMENT ERUPTION, POSSIBLE EARTH-DIRECTED CME」というタイトルで報じられていました。消えてしまったダークフィラメントを過去にさかのぼって調べると、4日の18時UT(日本時間5日3時)頃には長さが半分になって、19時UT前には消えていました。
20150905_NASA_SDO_CME発生
この時間あたりで「フィラメントの噴出があり、ほぼ地球に向いている位置でCMEが起こったよ」ということですね。CMEとは「Coronal mass ejection」の略で、コロナ質量放出と訳されます。磁気嵐の原因であり、もし地球に到達すると大規模な電波障害や停電の原因となったり、宇宙飛行士の身体や人工衛星への影響が懸念されます。何もないと良いのですが…。(左はNASA-SDOの動画キャプチャーを引用。白丸のところでCMEが起こっています。)

真夜中に地球が起こす日食2015/09/06


20150906_0020地球
まずは左画像をご覧ください。不思議な画像ですが、金星ではありませんよ(笑)なんとこれ、本日9月6日0:20(真夜中過ぎ)の気象衛星ひまわりによる可視画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)です。夜中でも可視画像が配信されるようになって、一番楽しみだったのがこの夜中の地球でした。別に夜景が見えるわけではありませんが、この限りなく細く欠けた地球の姿は何とも美しいではありませんか。

ここでちょっと意地悪して、画像の輝度レベルを10倍にしてみます(右下画像)。すると…暗い部分にもなにか見えてきましたね。何だか地球の右上に光源があって、光が漏れ出しているように感じませんか?更にギザギサのマスクによってその光源が意図的に隠されてるみたいです。見たらヤバいUFO的なものが写っているのかも。…んなわけないですね、もうお分かりでしょう。光源の正体は太陽です。8月に太陽のそばで金星の内合が三日月状に見えましたが、全く同じ理由で気象衛星から地球の内合を見るとこの画像のように見えます。この場合の「内合」を正しく言い換えれば「地球と太陽の方向が重なる」現象、つまり日食ですね。
20150906_0020地球

ひまわり8号からはこの時期毎夜「地球による日食」が見えます。なんだかすごい事のように思えますが、例えば国際宇宙ステーションからも周回のたび日食が見えますし、地上にいる私たちも実は一日一回太陽が地球に隠される日食…別名「日の出・日の入り」を体験してます。気象衛星が見ているこの日食とは、毎日の日の出入りのようなものなのです。

さて、地球表面を写したい気象衛星にとって太陽と地球が重なる時間は「逆光が眩しくて撮れない!」状態。本当はこんな状況避けたいところですが、赤道上空で静止しているのですから逃げられません。仕方なく、その時間は観測をやめるか画像の太陽迷光をカット処理され冒頭のようになるのです。このへんの詳しい事情は気象庁のここのページをどうぞ。

ところで、一年中いつでも真夜中に太陽と地球が重なるわけではありません。ではいつ頃なのか計算してみましょう。

地球日食説明図
地球から見ると太陽の方向は赤道に対してプラスマイナス約23.4度角の振れ幅があります。8月18日の記事で少し触れましたが、これは地軸に傾きがあるからです。いっぽう、赤道の約35800km上空にいるひまわり8号がほぼ静止していると仮定して、地心距離(高度+地球赤道半径)を使えば「衛星からの地球視半径」が約8.6度と計算できます。衛星から太陽までの距離は地球までに比べてたいへん遠いので「衛星からの太陽視位置はほぼ地球と同じ」とすれば、「太陽赤緯がプラスマイナス8.6度以内の時期、ひまわり8号から見た太陽は夜中に地球と重なってしまう」と言えるでしょう。概略図は右のようになりますね。

今年の太陽赤緯を国立天文台サイトで計算すると、気象衛星の撮影範囲に太陽が重なるのは9月1日から10月16日でした。秋分をはさんでプラスマイナス20日余りでしょうか。実際は太陽が地球の縁からもう少し離れないとカメラが直射ダメージを受けるでしょうから、例えば視半径の半分程度のクリアランスを見込むなら8月中旬から10月末という結果になります。春分をはさむ時期も同様です。この計算は私が勝手な仮定で行ったものですから、多少の誤差はあるかも知れませんが、前述の気象庁ページ内容と矛盾しない結果にはなっています。

20150906夜中の地球と太陽
左はステラナビゲーターのフライトモードを使い、最初の画像と同じ9月6日0:20の地球を俯瞰したもの(※視点はひまわりの位置ではありません)。周囲を見渡すとたくさんの星が見え、ちょうどしし座の方向に太陽が輝いています。ひまわり8号はいま夜中にこんな景色を見ているんだと思うと、なんだか胸が熱くなりますね。ひとりぼっちでがんばっているんだなあ…。

最初の画像に戻りますが、地球が三日月状に光っているところをよく見ると、赤い部分と青い部分があるようですね。逆光による迷光の影響もあるでしょうから、30分後の0:50の拡大画像を右下に置いておきます。赤い部分は低層の大気によって青成分を失った太陽光が地上の海や雲を照らしている光です。朝焼けと言って良いかも知れませんが、大気を直接通り抜けた光ではなく、大部分が地上からの反射光です。誤解ありませんように。上層が青くなっている具体的な理由を私は知らないのですが、空気分子の密度が極端に薄い上層では「空が青い」理由となってる散乱がほとんど起こらないため、別の仕組みが存在するはずです。
20150906_0050地球
何にせよ結果的に青いフリンジ光が気象衛星からも見えますし、皆既月食のとき月まで届いた場合はターコイズフリンジを作り出しているわけですね。

地球が日食を起こす真夜中の画像を日々解析すれば、もしかしたら月食の光学的な特性も研究できるのでしょうか?あるいは大気の汚れ具合なども分かるかも知れません。でも残念ながら衛星が気象観測に特化しているため、私たちはひまわり画像のなかに太陽を見ることはないでしょう。うーむ、ちょっぴり残念。